2018 Fiscal Year Annual Research Report
New insight into plant acid tolerance: physiological and molecular mechanisms of acid tolerance through mycorrhizal formation
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17H03779
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
江澤 辰広 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (40273213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曾根 輝雄 北海道大学, 農学研究院, 教授 (00333633)
増田 税 北海道大学, 農学研究院, 教授 (60281854)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アーバスキュラー菌根菌 / 酸性土壌 / 共生 / 菌類ウイルス / リン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
II. 菌根菌耐酸性遺伝子のスクリーニング 昨年度と同様の実験系---酸性硫酸塩土壌のpHを3.5-4.9の範囲で4段階に調整した土壌を用いたナイロンメッシュ区画ポットを利用して栽培---において新規に入手したR. clarus RF1株の同種地理的隔離株であるCK001株を接種したミヤコグサを7週間栽培した。その後、それぞれのpH区から採取したAM菌の外生菌糸からRNAを抽出し、比較トランスクリプトーム解析に供試した。RF1株の際と同様の手法でpHの低下に伴って直線的に発現上昇する48個の遺伝子群を抽出したが、RF1株と共通の遺伝子はそのうちのわずか14個であった。RF1株において耐酸性に関わる重要遺伝子として抽出された原形質膜型マグネシウム輸送体遺伝子は土壌pHには反応せず、代わりにオルガネラ局在が予想されるマグネシウム輸送体遺伝子の発現がpHの低下に伴って発現上昇していた。RF1株は強酸性を示す酸性硫酸塩土壌から分離された株であるのに対し、CK001株は熱帯泥炭土壌から分離された株であり、土壌酸性への応答の相違は、両株の生育環境の相違と関係しているものと推定された。 III. 共生ウイルスの耐酸性における役割 前項と同様の実験系を用いてCK001株を接種したミヤコグサを栽培し、その外生菌糸からRNAを抽出した。一本鎖RNAウイルスを標的にRNA-Seqを行った。これまの予備的な試験においてCK001株で見つかっていたR. clarus Mitovirus 4およびR. clarus Mitovirus 5は今回も検出されたものの、前回同定され、他の地理的隔離株からも検出されているR. clarus Mitovirus 3は検出されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「菌根菌のリン吸収画分の同定」については、水溶性および有効態の無機リン酸は植物にとっても利用性の高い画分であることが知られているが、AM菌が難溶性画分の有機態リン酸を利用する能力を有することについては、本研究で初めて明らかにされた。「菌根菌耐酸性遺伝子のスクリーニング」については、菌株間の土壌酸性に対する応答パターンの相違が想定以上に大きいことがわかった。「共生ウイルスの耐酸性における役割」については、一部ウイルスの検出再現性が乏しいため、継代培養中のウイルス脱落などの可能性についても検証する必要があると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
「菌根菌のリン吸収画分の同定」については、現在、共同研究者と論文化に向けて検討中である。「菌根菌耐酸性遺伝子のスクリーニング」では、菌株間の応答の相違が大きいことから、さらにゲノム情報が取得できた3番目の地理的隔離株を加えて同様のデータを取得することで、生理的応答性の相違と遺伝的相違との相関解析を行う準備を整える。「共生ウイルスの耐酸性における役割」については、検出されるウイルスの再現性を確認する実験を行う必要が生じた。
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Research Products
(18 results)