2017 Fiscal Year Annual Research Report
北海道産マルハナバチの高受粉能力系統の造成と受粉効率の評価
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17H03953
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
野村 哲郎 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (50189437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 純一 京都産業大学, 総合生命科学部, 准教授 (40530027)
荒川 愛作 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 主任研究員 (60612728)
熊野 了州 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (90621053)
谷口 幸雄 京都大学, 農学研究科, 准教授 (10252496)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マルハナバチ / 授粉系統 / 北海道 / 系統造成 / 選抜育種 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 系統造成における基礎集団を造成するために、北海道帯広市、中標津町、別海町、根室市において、5月から7月に越冬明けのエゾオオマルハナバチの女王蜂を約100個体採集した。採集した女王蜂を京都産業大学の飼育室に持ち帰り、営巣試験を行った。営巣成功率は約20%であり、飼育条件(とくに温度と湿度の設定)や方法(飼育ケースの素材)に改善が必要と考えられた。8月には、形成されたコロニー(巣)から羽化した新女王と雄の実験室内での交尾を行った。交尾率は約25%であり、交尾条件(光度、温度、交尾ケージの形状)などの改善が必要と考えられた。 2. 5月に帯広畜産大学の研究分担者(熊野)を訪れ、授粉試験のためのトマトハウスの視察など授粉試験の実施に向けた調整を行った。今年度は飼育試験の成績が悪く、授粉試験に利用できるコロニーの調整が整わなかったため、具体的な成果は上げられなかった。 3. 系統の継代維持のための交配方法について、理論的研究を進めた。従来、2倍体生物において利用されてきた近交最大回避交配をマルハナバチのような半倍数体生物に利用できるように拡張した。研究分担者(荒川)との共同研究によって、この交配方法の下での近交係数の上昇と性決定遺伝子座の遺伝的多様性の変化をランダム交配と比較した。その結果、近交最大回避交配をとくに系統維持の初期の近親交配の回避と遺伝的多様性の維持に有効であることが示された。また、維持系統を複数のグループに分け、グループ間で雄をローテーションする循環交配の有効性についても検討を進めた。 4. 研究分担者(谷口)との共同研究によって、北海道におけるマルハナバチの遺伝変異を評価するために利用できるマイクロサテライトを検討した。その結果、8個のマイクロサテライトにおいて多型を検出できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交配方法および選抜育種の手法、および遺伝変異の解析については、ほぼ予定通りに研究が進展しているが、室内飼育による継代繁殖が十分な規模で行えていない。とくに、飼育試験に利用している飼育室では除湿機を2台稼働させているが、梅雨時の湿度のコントロールが困難で過湿になることが飼育成績に影響を及ぼしていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
飼育試験については、半数程度の飼育個体を温度と湿度のコントロールが容易なインキュベータに移して飼育し、飼育成績の改善を図る予定である。飼育および交尾の条件や方法についても、すでに飼育実績のある研究協力者(手塚氏:アグリ総研)からアドバイスを受けて設定の見直しを行う。また、一部の個体を手塚氏の施設に移し、飼育個体群の増加を図る。
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