2017 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛トランスポーターと亜鉛シグナルを標的とする対がん創薬研究
Project/Area Number |
17H04011
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
深田 俊幸 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (70373363)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 亜鉛 / がん / トランスポーター / シグナル伝達 / 亜鉛シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度助成による研究結果を以下に記す。 1.がん組織に発現する亜鉛トランスポーター: 大腸がんにおけるZIP7の発現に加えて、皮膚がんにおけるZIP10の亢進を見出した。 2.創薬研究の評価系開発: ZIP14をモデルとして、亜鉛トランスポーターを制御する化合物同定のアッセイ系を構築している。既に、誘導的にヒトZIP14を発現する細胞株を樹立しており、この細胞株を用いてスクリーニングを始めている。 3.亜鉛トランスポーター結合分子の同定: Yeast two hybrid system (Y2H)によって複数の亜鉛トランスポーター結合分子を単離し、これらが亜鉛トランスポーターの機能にどのような影響を与えるのか検討している。 4.皮膚における亜鉛トランスポーターの役割: ZIP7欠損マウスは、皮膚薄弱化とコラーゲン線維の減少を呈した。間葉系幹細胞のZIP7遺伝子を不活化させたところ、線維芽細胞の分化が阻害された。さらに、ZIP7欠損によって小胞体ストレスの上昇による細胞死が亢進した。これらから、ZIP7は小胞体内の亜鉛量を調節し、小胞体ストレス応答の上昇を制限していることが示された。また、ZIP10が皮膚の毛包に発現することを見出し、上皮系細胞でZIP10が欠損するマウスを作製して解析した。その結果、ZIP10欠損マウスでは表皮の菲薄化と毛包の減少が生じ、皮膚バリア機能の損失が認められた。さらに、ZIP10がp63の転写能の活性化に重要な役割を果たしていることが示された。加えて、ZIP13が脂肪細胞の褐色化にブレーキをかけている調節因子であり、生活習慣病治療の標的分子となる可能性が示された。 5.アトピー性皮膚炎: アトピー性皮膚炎患者の表皮では、ZIP10の発現が顕著に減少していることを見出した。表皮疾患において、ZIP10が創薬標的分子となる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
がんに焦点を当てて、亜鉛シグナルおよび亜鉛トランスポーターの役割解明と創薬研究を開始したが、がん以外の疾患や組織における意義も含めて、当初の予想以上の発見を得ている。達成度の指標となる項目を以下に示す。 1:亜鉛トランスポーターは、様々ながん組織に過剰発現している。 2:亜鉛シグナルはがん細胞の生存や増殖の制御に関与しており、個々の亜鉛トランスポーターが特異的に標的分子を制御している。 3:皮膚組織において、表皮と真皮では異なる亜鉛トランスポーターによる亜鉛シグナルが、それぞれの組織構築に関与している。 4:アトピー性皮膚炎、肥満、骨格筋分化に関わる亜鉛トランスポーターが存在する。 5:亜鉛トランスポーターの中には、亜鉛以外の金属を基質として輸送しているものがある。 6:亜鉛トランスポーターの亜鉛輸送活性をモニターできるアッセイ系を構築した。 7:当該年度までに得た知見をもとに、亜鉛シグナルに関する書籍を編集した。当該書籍は、平成30年度中に発刊される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に得られた知見と進捗状況を踏まえて、今年度の研究方針を以下に示す。 1:個々の亜鉛トランスポーターは、皮膚がんや大腸がんをはじめとする種々のがん組織に、どのような役割を担っているのか明らかにする。 2:亜鉛トランスポーターの亜鉛輸送活性を制御する化合物をスクリーニングして、候補化合物のがん細胞に対する効果を解析する。 3:亜鉛トランスポーターの基質特異性のメカニズムについて解析する。 4:皮膚がん、大腸がん、アトピー性皮膚炎における亜鉛トランスポーターの役割と分子機序を解明する。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Requirement of zinc transporter ZIP10 for epidermal development: Implication of the ZIP10-p63 axis in epithelial homeostasis.2017
Author(s)
Bin BH, J. Bhin, M. Takaishi, K. Toyoshima, S. Kawamata, K. Ito, T. Hara, T. Watanbe, T. Irie, T.Takagishi, SH. Lee, HS. Jung, S. Rho, J. Seo, DH. Choi, D. Hwang, H. Koseki, O. Ohara, S. Sano, T. Tsuji, K. Mishima, T. Fukada.
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
Volume: 114
Pages: 12243-12248
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Zinc transporter ZIP13 suppresses beige adipocyte biogenesis and energy expenditure by regulating C/EBP-β expression.2017
Author(s)
Fukunaka A, T. Fukada, J. Bhin, L. Suzuki, T. Tsuzuki, Y. Tkamine, BH. Bin, T. Yoshihara, N. Ichinoseki-Sekine, H. Naito, T. Miyatsuka, S. Takamiya, T. Sasaki, T. Inagaki, T. Kitamura, S. Kajimura, H. Watada, Y. Fujitani.
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Journal Title
PLoS Genetics
Volume: 13
Pages: e1006950
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Requirement of Zinc Transporter SLC39A7/ZIP7 for Dermal Development to Fine-Tune Endoplasmic Reticulum Function by Regulating Protein Disulfide Isomerase.2017
Author(s)
Bin BH, J. Bhin, J. Seo, SY. Kim, E. Lee, K. Park, DH. Choi, T. Takagishi, T. Hara, D. Hwang, H. Koseki, Y. Asada, S. Shimoda, K. Mishima, T. Fukada.
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Journal Title
Journal of Investigative Dermatology
Volume: 137
Pages: 1682-1691
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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