2017 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation on the homeostatic regulation by NRDC-p53 axis
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17H04048
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
西 英一郎 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (30362528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 美紀子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (10583198)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナルディライジン / 細胞外ドメインシェディング / 転写 / 糖代謝 / 大腸がん / p53 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外環境の変化は細胞膜表面で感知され、細胞内・核内に伝達されることでエピジェネティックス、遺伝子発現変化などによる適応が生じる。ナルディライジン(NRDC)は、膜タンパク質の細胞外ドメイン切断を介して細胞外環境を、核内では転写コレギュレーターとして転写を調節しているユニークな多機能分子である。その欠損マウスは低体温、低インシュリン血症、炎症・がん抵抗性など広範な表現型を呈した。本研究では、最近明らかになったp53との機能的連関も含め、NRDCの細胞内外の分子機能がいかに使い分けられているのか、そしてNRDCが体温・糖代謝恒常性維持やがんの発症・進展をいかに制御しているかを明らかにすることを目的とする。 2017年度は下記目的にそって研究を行った。 目的1) エネルギー代謝恒常性維持におけるNRDCの役割の解明:NRDC-/-マウス(全身欠損)のグルコース応答性インスリン分泌は著明に減弱しているが、インスリン感受性が高く、耐糖能障害は比較的軽度である。脂肪細胞、肝細胞特異的欠損マウスを作製し、糖代謝を解析した。脂肪細胞、肝細胞特異的欠損マウスはいずれもインスリン感受性の上昇を呈したことから、それらの細胞に発現するNRDCがインスリン感受性制御に関わっていることが示唆された。 目的2)NRDC-p53 axisによる転写制御機構の解明:大腸がんモデル(APC-Minマウス)において、腸管上皮特異的にNRDCを欠損させる(villin-KO)ことで発がんが抑制されること、villin-KOマウスの腸管でp53発現が上昇し、アポトーシスが亢進していることを明らかにした。また大腸がん細胞株HCT116 (p53野生型)を用いた検討から、NRDC欠損によるP53発現の上昇はp53アセチル化亢進に依存し、p53アセチル化亢進はHDAC1に依存することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、1) エネルギー代謝恒常性維持におけるNRDCの役割、2) NRDC-p53 axisによる転写制御機構、3) NRDCの細胞内外の機能の相互作用、を明らかにすることである。当該年度においては、1), 2)について、必要な臓器特異的ノックアウトマウスの作製、解析が進んでおり、NRDCの臓器特異的機能、その生理的役割が徐々に明らかになってきている。以上から、本研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
目的1) エネルギー代謝恒常性維持におけるNRDCの役割の解明:①体温恒常性および②糖代謝恒常性については、各臓器特異的NRDC欠損マウスの解析を継続して行う。③体温・糖代謝恒常性におけるNRDCペプチダーゼ活性の意義の検討:NRDCは活性中心(HXXEH:亜鉛結合部位)のグルタミン酸に変異を導入することでペプチダーゼ活性を失う。細胞レベルの検討では、PGC1-alphaとislet1を介する転写調節にNRDcのペプチダーゼ活性が必要であった(Nat Commun 2014, Diabetes 2016))。個体レベルにおけるペプチダーゼ活性の意義を明らかにするために、ペプチダーゼ不活性型Nrdcノックインマウス(E>A KIマウス)を作製する。E>A KIマウスの体温、糖代謝関連表現型、遺伝子発現変化などをNrd1-/-マウスと比較する。 目的2)NRDC-p53 axisによる転写制御機構の解明:①p53の転写活性におけるNRDCの役割の解明:HCT116、HCT116:NRDC-/-細胞(5FU/L-OHP添加なしorあり)を用いて、抗p53抗体および、使用可能な抗体があれば抗HDAC1抗体によるChIP-seq解析を行う。NRDC欠損が、P53標的遺伝子上流へのp53、HDAC1の結合にいかに影響するかをゲノムワイドに検討し、p53による転写・アポトーシス調節にNRDCがいかに関わっているかを明らかにする。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Nardilysin controls intestinal tumorigenesis through HDAC1/p53?dependent transcriptional regulation2018
Author(s)
Kanda K, Sakamoto J, Matsumoto Y, Ikuta K, Goto N, Morita Y, Ohno M, Nishi K, Eto K, Kimura Y, Nakanishi Y, Ikegami K, Yoshikawa T, Fukuda A, Kawada K, Sakai Y, Ito A, Yoshida M, Kimura T, Chiba T, *Nishi E and *Seno H
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Journal Title
JCI Insight
Volume: 3
Pages: 91316
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Association of serum levels of antibodies against MMP1, CBX1, and CBX5 with transient ischemic attack and cerebral infarction2017
Author(s)
Wang H, Zhang XM, Tomiyoshi G, Nakamura R, Shinmen N, Kuroda H, Kimura R, Mine S, Kamitsukasa I, Wada T, Aotsuka A, Yoshida Y, Kobayashi E, Matsutani M, Iwadate Y, Sugimoto K, Mori M, Uzawa A, Muto M, Kuwabara S, Takemoto M, Kobayashi K, Kawamura H, Ishibashi R, Yokote K, Ohno M, Chen PM, Nishi E, et. al.
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Journal Title
Oncotarget
Volume: 9
Pages: 5600-5613
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Elevation of autoantibody level against PDCD11 in patients with transient ischemic attack2017
Author(s)
Yoshida Y, Wang H, Hiwasa T, Machida T, Kobayashi E, Mine S, Tomiyoshi G, Nakamura R, Shinmen N, Kuroda H, Takizawa H, Kashiwado K, Kamitsukasa I, Shin H, Wada T, Aotsuka A, Nishi E, Ohno M, Takemoto M, Yokote K, Takahashi S, Matsushima J, Zhang XM, Takiguchi M, Iwadate Y.
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Journal Title
Oncotarget
Volume: 9
Pages: 8836-8848
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] ナルディライジンは神経栄養因子受容体(p75NTR)のシェディングを介して心臓交感神経の分布を制御する2017
Author(s)
大野美紀子, 西 清人, 平岡 義範, 新妻 晋一郎, 西城 さやか, 坂本 二郎, 陳 博俊, 森田 雄介, 松田 真太郎, 椋本 淑子, 清成 寛, 松浦 博, 北 徹, 木村 剛, 西 英一郎.
Organizer
生命科学系学会合同年次大会(第40回日本分子生物学会年会)
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