2018 Fiscal Year Annual Research Report
Perturbation of redox balance in pathophysiology of diabetes
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17H04199
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
篁 俊成 金沢大学, 医学系, 教授 (00324111)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | セレノプロテインP / ヘパトカイン / 2型糖尿病 / 褐色脂肪組織 / 骨粗鬆症 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はセレノプロテインP (SeP)が、2型糖尿病の病態を形成する肝臓由来生理活性分子「ヘパトカイン」であること、SePは「シグナル伝達に必要な活性酸素」を消去することで多様なシグナル伝達抵抗性を誘導することを発見した。このような内因性還元ストレス因子は現在まで見つかっていなかった。本研究では、褐色脂肪組織(BAT)および骨におけるSePの受容体と作用機構解明を通じて、還元ストレスの臓器分化への寄与を明らかにするとともに、2型糖尿病に対する従来の概念に依存しない新しい治療開発の基盤を確立する。本年度は以下の研究を行った。 ①SePがBAT分化に及ぼす作用:昨年度までに、SePノックアウト(KO)マウスでは野生型マウスに比べて、酸素消費量、体温、ノルアドレナリン(NA)に対する感受性が高いことを明らかにした。今年度はこの機序を研究した。その結果、寒冷刺激化刺激を行ったSeP KOマウスのBATではUCP-1の活性化を示すスルフェニル化が起きていた。初代培養BAT細胞において、NA刺激に対してSePタンパク質の投与はROSを抑制した。 ②SePが骨芽細胞および破骨細胞に及ぼす作用:全身SeP KOマウスと同様に、肝臓特異的SeP KOマウスおよび骨芽細胞特異的受容体X KOマウスでも、高脂肪高ショ糖食を与えた際に起こる骨量の減少が軽減された。一方、卵巣を摘出した閉経後骨粗鬆症モデルでの骨量の減少はSeP KOマウスと野生型との間で差はなかった。単離した初代培養の骨芽細胞を用いた結果、SePタンパク質を添加した骨芽細胞ではIGF1シグナルが抑制されていた。受容体XをKOした骨芽細胞ではIGF1シグナルの抑制はみられなかった。破骨細胞ではSePタンパク質添加によって細胞分化に影響はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
褐色脂肪細胞および骨芽細胞、破骨細胞におけるSePのメカニズムが詳細に判明してきた。また、肝臓、BAT、骨芽、破骨細胞特異的遺伝子組み換えマウスの繁殖、実験も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
臓器特異的遺伝子組み換えマウスの検証および、SeP中和抗体による血中SePの阻害実験を進めていている。また、ヒトでの検証に関し、数年分の検診データや糖尿病患者検体のデータ集積が完了し、解析が可能となった。ヒトにおけるSePとBATの活性化、および骨粗鬆症、骨折リスクとの相関を調べる。
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