2018 Fiscal Year Annual Research Report
患者由来乳がん細胞・移植腫瘍におけるエストロゲン作用ネットワークの解明と臨床応用
Project/Area Number |
17H04205
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
堀江 公仁子 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90261982)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 乳がん / エストロゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度においては、倫理基準を満たす患者由来乳がん細胞を用いて、核酸製剤を用いたエストロゲン受容体標的因子の発現抑制による乳がん細胞の増殖性や細胞周期への影響を検討した。胸水転移をきたした乳がんからも患者由来乳がん細胞の分離を進めており、3次元長期培養系の確立を目指している。また、本課題における患者由来がん細胞の3次元培養技術を応用し、乳がんと同様にエストロゲン受容体シグナルの制御を受ける症例が大半である子宮体がんについても患者由来乳がん細胞の長期培養系の確立に成功している。患者由来がん細胞を確立してからの超免疫不全マウスにおける移植腫瘍の作製に成功し、実臨床に近似したがんモデルにおけるエストロゲン受容体シグナルの解析を進めている。さらに乳がんの増殖性や進展に関わる長鎖非コードRNA分子とRNA結合タンパク質を複数同定し、エストロゲン受容体シグナルを増強させる分子メカニズムについての解析および発現性と乳がん患者予後との相関解析を進めており、新規がん診断・治療標的として臨床応用することを目指している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床部門から患者検体の提供を受けることが律速段階ではあるが、3次元培養系で長期生存できる患者由来乳がん細胞の確立に成功しており、さらに症例数を伸ばすことを目指している。子宮体がんについても患者由来乳がん細胞・移植腫瘍モデルを確立することに成功したため、乳がんと子宮体がんにおけるエストロゲン受容体シグナルを比較することにより、タモキシフェン耐性等の内分泌治療抵抗性の分子メカニズムの理解を深めることが可能になってきた。これらのがんモデルを用いて、エストロゲン受容体シグナルを介したがん増殖・転移制御因子を探索し、機能解析を進めていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
患者由来がん細胞・移植腫瘍モデルを用いて、エストロゲン受容体シグナルの解析を転写・タンパク質発現レベルで解析し、臨床がんデータベース情報も活用しながら、タモキシフェン耐性等の内分泌治療抵抗性に至るエストロゲン受容体シグナルの分子メカニズムの解析を進める。エストロゲン受容体およびその標的遺伝子の転写調節に関わるRNA結合蛋白質や非コードRNAに注目し、内分泌治療抵抗性獲得に伴うエストロゲン受容体シグナル調節機構の変容を明らかにし、新規がん診断・治療標的の同定を目指す。
|
Remarks |
2017年2月に埼玉医科大学、国立がん研究センター、金沢大学、 東京都健康長寿医療センターとの共同研究に基づき「がん三次元培養研究会」を発足した。患者由来がん細胞・移植腫瘍の研究発表を中心として、 2018年11月27日 に「第2回がん三次元培養研究会」を国立がん研究センターにて開催し、約200名の参加者と活発な研究討議を行うことができた。 研究代表者は同研究会の幹事として活動している。
|
Research Products
(9 results)