2017 Fiscal Year Annual Research Report
内耳老廃物排泄機構に着目した新機軸脳神経臨床画像診断の確立
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17H04259
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長縄 慎二 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50242863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 宏久 名古屋大学, 脳とこころの研究センター, 特任教授 (10378177)
曽根 三千彦 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30273238)
田岡 俊昭 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院准教授 (30305734)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 内リンパ水腫 / Glymphatic system / ガドリニウム造影剤 / 磁気共鳴画像 / 血管周囲腔 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の研究の目的である、内耳老廃物排泄機構および脳老廃物排泄機構Glymphatic systemの解析を進めるために、我々が開発した液体中の極微量のガドリニウム造影剤への感度をさらに高めるために、新規パルスシーケンスの開発を進めた。繰り返し時間の延長と反転時間の最適化、フリップアングルの増加などにより、従来よりも半分の時間で、同等のコントラストノイズ比を達成するimproved-HYDROPS(i-HYDROPS)法の開発に成功し、論文化した(Naganawa s, et al. MRMS 2017)。さらにParadoxycal signal decreaseを防ぐための3D-real IR法をi-HYDROPSの技術を応用することで、静注ガドリニウム造影剤を用いて内リンパ水腫画像として応用することに世界ではじめて成功し、論文化した(Naganawa S, MRMS 2018)。Glymphatic systemの評価の端緒として世界的に注目されている血管周囲腔についても基底核と白質で造影前の信号強度も造影程度も異なることを示して論文化した(Ohashi T, Naganawa S, MRMS 2018)。他にも血管周囲腔は大きさによって造影効果が異なること(Naganawa S, MRMS 2017)や基底核の血管周囲腔の造影程度と蝸牛内リンパ水腫の程度に相関があること(Ohashi T, Naganawa S, MRMS 2018)も論文化した。これらの成果が認められ、ハワイの国際磁気共鳴医学会では日本人としてははじめての初日の総会講演に抜擢された。さらに4年に一度だけ開催される世界神経放射線学会(台北)での総会講演の栄誉に浴した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の概要で述べたように新規のパルスシーケンス開発に成功し、予想以上に成果を上げることが出来た。一方で、世界的に注目されたため、多くの時間を招待講演の準備に費やし、ボランティアや患者でのデータ解析にやや遅れが見られる。そのため全体としては概ね順調と判断した。感度に優れたパルスシーケンスを初期に開発できたことにより、データのばらつきは小さくなるはずなので、すくないデータの解析でも有意差が出やすいと予想される。特に静注ガドリニウム造影剤による内耳や脳の老廃物排泄機構の解析に有用となるガドリニウム造影剤がリークする部位について、我々が以前発見した内耳神経末端や迷路、視神経周囲、三叉神経周囲、前眼房に加えて、脳室周囲器官(Circumventricular organ; CVO)のなかの終板脈管器官(Organum vasculosum of Lamina terminalis; OVLT)もリークするポイントであることを証明できたことは研究を進める上で重要な発見であった。これも論文化することができた。(Naganawa S, Taoka T, Kawai H, Yamazaki M, Suzuki K. Appearance of the Organum Vasculosum of the Lamina Terminalis on Contrast-enhanced MR Imaging. Magn Reson Med Sci. 2017 Sep 29. doi: 10.2463/mrms.mp.2017-0088.)さらに他にもリークポイントがあることを国際学会で発表した。(AOCNRHNR・SNR 2018, Taipei)これも大変に国際的な注目を集め、発表の後、様々な質問があった。また後日のe-mailでの質問も多い。
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Strategy for Future Research Activity |
静注後のガドリニウム造影剤が脳脊髄液にリークするポイントがあることは上記で述べたがそのリークする程度と年齢、性別、疾患状態などを検討することにより、血液脳脊髄液関門の状態を評価することができる。それを評価することで、内耳や脳の老廃物排泄機構に影響を与える因子を考察することができ、老廃物排泄機構の実態解明に迫ることができる。 Glymphatic systemは睡眠時に活発に活動することが知られており、今後、さらに動物で、ガドリニウム造影剤を静注投与するタイミングを就眠前と覚醒直後に設定することや、麻酔深度を変えながら投与することで、脳の老廃物排泄機構の活動を観察することを計画している。 ヒトにおいてもボランティアでのガドリニウム造影剤投与を我々が開発した高感度新規パルスシーケンスを用いて行うことも計画している。脳実質へのガドリニウム造影剤の移行程度の定量のため、当方に我が国ではじめて導入されたMR fingerprinting技術を応用することも検討している。 また造影剤を使用するまでもなく、血管周囲腔内に貯留している液体の成分の日内変動を観察することも試みる予定である。動物実験においてはドイツの研究者とも共同して、人類にとって大きな問題である神経変性疾患の謎に老廃物排泄機構の面からできるだけ迫るつもりである。さらには人工知能を用いて少ないガドリニウム造影剤でも老廃物排泄機構を評価することや、造影剤を投与して間もない画像から、数時間後の画像を生成するといったMachine learningの試みも行っていく。人工知能については、国内だけでなく、フランスの研究者とも共同で行う。
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[Journal Article] An unbiased data-driven age-related structural brain parcellation for the identification of intrinsic brain volume changes over the adult lifespan.2017
Author(s)
Epifanio Bagarinao, Hirohisa Watanabe, Satoshi Maesawa, Daisuke Mori, Kazuhiro Hara, Kazuya Kawabata, Noritaka Yoneyama, Reiko Ohdake, Kazunori Imai, Michihito Masuda, Takamasa Yokoi, Aya Ogura, Toshihiko Wakabayashi, Masafumi Kuzuya, NorioOzaki, Minoru Hoshiyama, Haruo Isoda, Shinji Naganawa, Gen Sobue
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Journal Title
Neuroimage.
Volume: 169
Pages: 134-144
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Detecting sub-second changes in brain activation patterns during interictal epileptic spike using simultaneous EEG-fMRI.2017
Author(s)
Epifani Bagarinao, Satoshi Maesawa, Yuji Ito, Naotaka Usui, Jun Natsume, Hirohisa Watanabe, Minoru Hoshiyama, Toshihiko Wakabayashi, Gen Sobue, Shinji Naganawa, Haruo Isoda
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Journal Title
Clin Neurophysiol.
Volume: 129(2)
Pages: 377-389
DOI
Peer Reviewed
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