2017 Fiscal Year Annual Research Report
Novel therapeutic proposal for DIC/Shock: from Damage-Sensing/-Control to Damage Resolution
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17H04363
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
丸山 征郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (20082282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣花 泰之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20264426)
川原 幸一 大阪工業大学, 工学部, 教授 (10381170)
山口 宗一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助手 (20325814)
原田 陽一郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (80464147)
伊藤 隆史 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 講師 (20381171)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | DAMPs / RAMPs / thrombin / protein C / DIC |
Outline of Annual Research Achievements |
DAMPsによる【damage sensing】→【damage control】→【damage resolution & repair】、すなわち生体侵襲とその認識、反応と修復と言った一連の連結反応を解析するために、①臨床例(ショックや DIC)の解析のほかに、②動物モデルを構築して解析した。動物モデルはラットにアデニンを飲水で経口投与して、腎臓にアデニン結晶を作らせ、その腎機能と病理像を解析した。 ①先ず臨床例(敗血症性ショック)の解析では、PAI-1高値の症例が治療抵抗性の指標であった。PAI-1の発現には転写因子NF-κBの活性化をともなうことが必須であるので、侵襲が細胞膜レベル、細胞質レベルを超え、核内にまで及び、NF-κBの活性化を来しているものと考えられたが、同時にこのことはNF-κB作動性の組織因子のみならず炎症性サイトカイン(TNFα, IL-1β, IL-6 など)の発現をも伴い、病態が凝固線溶系、炎症系双方の活性化を惹起して、これが結果としてdamage control, damage resolutionの円滑な誘導を阻害しているものと想定された。 ②のモデルではアデニン結晶がMCP-1を発現誘導し、これにより単球・マクロファージ系細胞が浸潤集簇して、TNFαやIL-6, IL-1β の発現を誘導して、autocrine/paracrine mannerで遷延性炎症が誘導されているものと考えられた。このように、臨床例、動物モデルの双方において、いずれも円滑なdamageのsensing/control/resolution/repair流れの破綻という病態であり、key molecule:NF-κBを標的とした治療の開発が必要であろうと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の研究の中核は、代表的DAMPsであるHMGB1のアイソフォームを識別して測定評価するということである。すなわち組織・細胞侵襲で壊死に陥った細胞、あるいは活性化された細胞の核からHMGB1が細胞外に遊離放出されてTLR-2, -4、あるいはRAGE(Receptor for advanced glycation endproducts)を介して、インフラマソームを活性化する。結果、種々の炎症性サイトカインが放出されて、HMGB1が炎症や凝固反応を惹起して、Danger signalを発するというものである。しかしその後、このHMGB1には3個のSH基が存在し、壊死、あるいは活性化細胞から細胞外に放出されたHMGB1はそのSH基の状態により、全還元型、部分酸化型、全酸化型のアイソフォームを取ることが判明してきた。そしてこの3つのアイソフォームの活性も異なることが判明してきた。 すなわち細胞から遊離してすぐのHMGB1 は全還元型で細胞遊走能を、時間を経た部分酸化型HMGB1は細胞活性化・炎症サイトカインの産生と放出能を、そして全酸化型はこれらの反応を全て解除して、細胞遊走・炎症惹起反応を収束させて侵襲と炎症反応から修復を誘導すること、すなわち全酸化型はRAMP(Resolution Associated Molecular Pattern)として働くことが判明してきた。 3つのアイソフォームのHMGB1を識別して認識するモノクローナル抗体を作製し、おのおのを識別して測定することに関しては、現在、特徴を有したクローンの候補が取れつつあるという段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
1) HMGB1の3アイソフォームの識別抗体を用いたHMGB1アイソフォーム識別測定法の開発:現在得つつあるHMGB1の3アイソフォーム(全還元型、部分酸化型、全酸化型)を識別するモノクローナル抗体をさらにスクリーニングして、3識別型のモノクローナル抗体を採取し、これを利用したELISA系を確立する。これが成功しない場合には“ファージミッドライブラリー法”で、HMGB1の3アイソフォームをそれぞれ識別反応する抗体を得て、それを応用する。 2) RAMPs概念の確立:全酸化型HMGB1が炎症を終焉させ修復に向かわせること、すなわち全酸化型のHMGB1がRAMPとして働くことを細胞レベルで証明する。 3) 治療への応用:RAMP型HMGB1を作製して、治療への応用を先ずは細胞レベルから始める。
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Research Products
(5 results)