2017 Fiscal Year Annual Research Report
乳歯歯髄細胞由来iPS細胞からのインスリン分泌β細胞の再生
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17H04412
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齊藤 一誠 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90404540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正宏 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 教授 (30287099)
野口 洋文 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50378733)
稲田 絵美 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (30448568)
中村 伸吾 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 医療工学研究部門, 講師 (00505323)
小田 真隆 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (00412403)
松山 清 久留米工業高等専門学校, 生物応用化学科, 准教授 (40299540)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再生歯学 / 乳歯 / 1型糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
核内転写因子であるlymphoid enhancer-binding factor 1 (LEF1) は、近年、組織内にある「体性幹細胞のマーカー」であると認知されている。我々は遺伝子工学的手法により乳歯歯髄細胞からLEF1陽性幹細胞を単離し、骨や神経への分化多能性を示したが、培養過程でその特性を失う傾向にあった。また、1型糖尿病発症マウス膵臓由来の細胞から、iPS細胞樹立技術を応用し膵幹細胞を人工的に樹立し、インスリン分泌β細胞の再生法を新規に開発した。本研究では、細胞本来の分化能を温存した独自の細胞不老化法により、LEF1陽性幹細胞の特性を維持すること、さらに不老化LEF1陽性幹細胞からインスリン分泌β細胞への分化誘導法を開発することを目的とする。 初年度は、乳歯歯髄細胞(HDDPCs)に薬剤耐性遺伝子を含む不死化プラスミドをInadaらの方法で遺伝子導入し、その後抗生剤で選別し、生じたコロニーを拾い上げ、不死化安定株を得ることが大きな目標であったが、すでにInadaらの方法を参考に遺伝子工学的手法により、不死化安定株を得ている。また、我々はすでに1型糖尿病のヒト乳歯歯髄細胞株を樹立しており、Inadaらの方法に習い、この株の不死化遺伝子導入株の樹立を行っている。また、細胞を再びpiggyBac transposase発現ベクターpTransで遺伝子導入するとtransposaseの働きで痕跡を残さずにこれまで挿入されていた「目的配列」を除去することが可能で、次年度においては、「目的配列除去」および「direct reprogramming法」を併用し、インスリン分泌β細胞分化が可能かどうかを検証したいと考えている。 なお、我々の研究課題は、当初の想定通り概ね順調に研究は伸展しており、今後の研究を着実に進行させていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の大きな目標が、乳歯歯髄細胞(HDDPCs)にpTrans + pT-FLAG-E7-hEST2-HA + pT-bsr (blasticidin S耐性遺伝子発現トランスポゾン)をInadaらの方法で遺伝子導入し、その後blasticidin Sで選別し、生じたコロニーを拾い上げ、不死化安定株を得ることで、我々はすでに当該細胞の樹立に成功している。そのため、本研究課題における進歩状況は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
Inadaらの方法に習い、この株の長期培養(~4か月; ~20継代)後の増殖能、細胞特性の確認(alkaline phosphatase [ALP]活性)および多分化能の確認(骨、神経への分化能)を行う。piggyBacによる遺伝子導入系の利点として、一旦宿主ゲノム内に組み込まれたhEST2とE7等の目的配列は、細胞を再びpiggyBac transposase発現ベクターpTransで遺伝子導入するとtransposaseの働きで痕跡を残さずにこれまで挿入されていた「目的配列」を除去できる点がある。この所謂「目的配列除去」は、LEF1陽性幹細胞由来の分化細胞を再生医療に用いる場合に重要となる。pTransで遺伝子導入し、別の薬剤選択で生存した安定株からゲノムDNAをとり、PCRにて「目的配列除去」の有無を確認する。 前述のPdx1遺伝子の強制発現によるインスリン分泌β細胞分化へのdirect reprogramming法が報告されているが、今回はこの方法を適用させる。pTA-LEN導入iPS細胞から胚様体を形成させると、LEF1陽性となる。このLEF1陽性幹細胞へpTrans + pT-PDX1RP [PDX1,赤蛍光遺伝子(tdTomato), puromycin耐性遺伝子(puro)を内蔵するpiggyBacベクター]を共遺伝子導入すると、宿主ゲノムに挿入されていたLENがtransposaseの作用で除去され、代わりにPDX1RP成分が挿入される。遺伝子導入後、細胞をpuromycinで選別し、コロニーを得る。インスリン分泌β細胞への分化誘導は、先に述べた方法に準じる。
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Research Products
(1 results)