2017 Fiscal Year Annual Research Report
Coexistence Mechanism of Social and Ecological Sustainability at Semi-outdoor Space in Vernacular House under Sultry Climate
Project/Area Number |
17H04596
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
篠崎 正彦 東洋大学, 理工学部, 准教授 (10312175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 伸也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50180641)
齊藤 雅也 札幌市立大学, デザイン学部, 教授 (20342446)
内海 佐和子 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (10398711)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ベトナム / ドゥオンラム / 民家 / コミュニケーション / 屋内気候 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究開始年度であり、研究組織内での合意形成と調査方法の確認を慎重に行いながら研究を進め、概ね申請時の研究計画書にのっとった研究を行うことができたと考えている。 十分な調査準備をした上で、平成29年9月にはベトナム・ハノイ郊外のDuong Lam村において現地調査を行い、計6件の民家の生活行動調査と環境調査を行った。その結果、「環境的にも良い場所でコミュニケーションを伴った生活行動が行われている」という仮説にある程度の説得性があるデータが得られた。また、調査民家の断面形態および敷地内の家屋配置が室内に比較的温度の低い外気を導入・循環させているのではないかという見込みも得ることができた。ただし、まだ分析を十分に行っていないデータもあり、急ぎこれらのデータの分析を進め、上記仮説をさらに検証することに努めたい。 平成30年3月には、現地調査地の研究協力者Nguyen Trong An氏に本年度調査結果の概要を報告し、その方向性について同意を得ることができた、2年後に行う予定の再度の調査にも同意を得ることができた。ただし、集落保存という本研究とは直接関係ない点について協力を求めれ、本研究組織では満足に対応できない課題も出てきた。 同時期に、現地研究協力者のDo Thi Thu Van氏とともに来年度に調査を行う候補地3か所の視察を行い、いずれの候補地でも研究目的にかなうことを確認するとともに、当初の研究計画で調査を予定していたハノイ郊外のPhuu Luu村を調査候補地の筆頭に選定した。来年度夏の調査に向けて、連絡を取り合いながら調査準備を進めることとした。また、本年度9月の調査概要を同氏に報告し、その内容について概ね同意を得るとともに、今後の研究協力を続けていくこととした。 以上の調査実績をもとにいくつかの課題を解決しつつ、来年度以降の研究を着実に進めて行くこととしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[研究実績の概要]でも触れたように、現地調査を含め、研究計画は順調に進行している。 今年度に現地調査を行ったDuong Lam村は伝統的要素を強く残す場所であり、調査結果は来年度以降に調査を行う予定であるPhuu Luu村と比較する際の基準となる。Phuu Luu村は建て替えが進み、農業以外の職業に就いている居住者も多くいると予測され、伝統的な家屋と生活スタイルが強く反映していると考えられるDuogn Lamでのデータを確実に得られた意義は大きい。 現地共同研究者と今年度の研究結果や今後の調査方針について概ね同意を得られたことは、現地協力者の尽力なしには調査を行いづらいベトナムでの研究を進める上で重要なことだと考えている。 以上に加え、これまでの予備調査の結果を2018年3月にベトナム・ホーチミン市で行われた国際学会で発表を行った。 また、現地調査でのデータ採集やその後のデータ分析には当初の予想よりも人手がかかることも分かり、研究組織に新たな研究者を加える必要も考慮しなくてならないことが分かり、適当な研究者がいる場合は増員することも構わないという合意を現研究組織内で行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今のところ、当初の研究計画を大きく変更する状況に出会ってはおらず、当初の計画通り研究を進める予定である。 来年度は本年度より現代化が進んでいるとみられる調査地で調査を行い、その影響を探る。来年度調査結果を本年度調査結果と照らし合わせることで、それぞれの調査地での家屋形態や生活様式が社会的サステナビリティと環境的サステナビリティにどのように影響を与えているかより具体的に予測することができるのではないかと考えられ、その予測をもとに両調査地でさらに1年度づつ現地調査を行い、社会的サステナビリティと環境的サステナビリティが両立している蒸暑地域での民家の仕組みを明らかにして行きたい。
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