2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the quantitative evaluation methods of reinforcement factor in farmers' resilience for salinization by disaster and climate change
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17H04630
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 忠男 北海道大学, 農学研究院, 講師 (00312398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 克之 鳥取大学, 農学部, 准教授 (10414476)
生方 史数 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (30447990)
松田 浩敬 東京農業大学, 農学部, 准教授 (50451901)
久米 崇 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (80390714)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 復興 / 複業 / 塩類集積 / 地下水位 / 家計 |
Outline of Annual Research Achievements |
異なる塩性化の条件でのレジリエンス要因を検討するため,沿岸部(パンガー県)と内陸部(コンケン県)で調査を実施した。 パンガー県では,2004年のスマトラ島沖地震の津波被災地(塩害農地を含む地域)がどのように復興してきたのか,ヒアリング調査を中心に実施した。ヒアリング対象は5村18名に実施した。またヒアリング調査の際に,地震以前から現在までの個人の復興曲線(Y軸:復興度,X軸:経過時間)を記入してもらった。 その結果,塩害の復旧にはおおよそ6年要したものの,現在の塩害被害は無いということであった。復興曲線は居住する村や回答者の年齢によってパターンの違いが確認された。住居の移転,死別,病気などが復興度を下げる要因であり,就業・開業,心の復興(遺体が発見されたこと)などが,この値を上げる要因であることが示された。加えて,若年層や生業が多様(農地を複数持つことも含めて)な人たちほど,復興への適応力(回復力)の高いことが示された。 コンケン県では,昨年と同様のヒアリング調査と塩害圃場での水位・圃場塩分測定など塩類化のメカニズに関する現地調査を実施した。ヒアリング結果から,複業選択は様々なリスクに対する生活保障のための方策であり,必ずしも塩類化のみが複業選択の原因ではないことが確認された。また,その複業選択の指向性は,所有農地面積×生産性×作物価格が重要であることが示唆された。このとき生産性に強く影響する因子として,塩性化の程度と用水確保の状況の違いが挙げられた。対象地域の地下水位の変動からみると,どのような土地利用であれ塩類集積は促進すると予測されたが,水田のECaが低いことから灌漑用水によるリーチング効果が生産性向上に影響していることが示された。 今年度は,これらの結果から,レジリエンス要素を検討してきた。農家家計に関するデータ取得が遅れているため,最終的なモデル構築には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査等は順調に進んでいるものの,年度報告にも示したが,農家家計に関するデータ取得が遅れており,そのため当初計画で予定していたモデル構築に至らなかった。これは公共の統計データの信憑性について問題があったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終の現地調査を2019年9月に実施する予定である。 また,統計データに関する部分については,正確なデータを入手するために,研究協力者のコンケン大学の先生の協力を得て,アンケート調査を実施することをで対応する予定である。
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Research Products
(4 results)