2020 Fiscal Year Annual Research Report
Pathological investigation and analysis of transboundary swine disease threaten to Japan in south Asia
Project/Area Number |
17H04639
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
山口 良二 宮崎大学, 農学部, 教授 (90150169)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乗峰 潤三 宮崎大学, 農学部, 教授 (30627667)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 豚コレラ(豚熱) / CSF / アフリカ豚コレラ(アフリカ豚熱) / ASF / ベトナム / 病理 / 東南アジア / 免疫細胞化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
東南アジアにおける日本の脅威となる豚の越境感染症のうち豚コレラ(豚熱、CSF)とアフリカ豚コレラ(アフリカ豚熱、ASF)について増殖組織、排出部位、臨床症状の理由等は病理検査で明確にできる病理学的調査を実施した。CSFはベトナムで常在しているが2016年後半から2018年初頭にかけてその発生は増加している。その中2019年に中国からベトナムにASFが侵入し、ベトナムで最初のASFが発生し大打撃を受け、ASFは韓国、中国まで発生しており日本も脅威にさらされている。ワクチンは存在せず摘発淘汰が唯一の制御方法である。CSFとASFの症例について組織病理学的、免疫組織化学的および分子学的解析をおこなった。結果、CSF大発生に関しては肉眼的および組織病理学的所見から亜急性および慢性のCSFと診断した。 免疫組織化学的所見では、主に単球-マクロファージ、上皮、およびさまざまな臓器の内皮細胞に遍在するCSFV抗原を示した。 また、CSFV神経向性が大脳と筋層間神経叢の小型ニューロンで見られた。 このウイルス株は病理学的および系統樹解析から中程度の毒性を示すCSFVとして分類された。ASFでは、ASFV遺伝子型IIを示し、今回の臨床症状、肉眼的、および組織病理学的所見に基づいて、急性から亜急性のASFと診断した。 ASFV抗原陽性細胞はさまざまな臓器で検出され、主に単核細胞/マクロファージであった。それらは主にリンパ器官(脾臓、扁桃腺、リンパ節)、肺、腎臓、肝臓組織で検出された。CSFV株は遺伝的にサブジェノタイプ2.5(E2蛋白遺伝子)に属し、一方ASFVはp72遺伝子の遺伝子型IIに属し、アフリカ、ユーラシア、および中国で報告された株と100%相同性があることが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東南アジアにおける日本の脅威となる豚の越境感染症のうち豚コレラ(豚熱、CSF)とアフリカ豚コレラ(アフリカ豚熱、ASF)についての病理学的解析について、Veterinary Medicine and Science とTransboundary Emerging diseaseの科学雑誌に受理された。特にASFに関しては越境感染症の中でワクチンもなく、致死率が高く、被害も大きいので、病態を調べることは喫緊の課題であった。ASFを病理学的に調べて、論文に受理されたことは大きい。ASF感染豚はほとんど回復することはなく殺処分するだけが、蔓延を防ぐ方法であり、韓国まで発生が及んでいる。日本に侵入した場合対処方法がない。その中でもめったに見られない回復する豚が発見できた。今後そのASF感染豚の病理学的解析を行う予定である。今後の対処に結びつくかもしれない。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年2月からベトナムにアフリカ豚熱(ASF)が、中国からの越境感染症として発生し、未だにベトナムでアウトブレークが継続している致死率が高いため世界中の恐怖となっている。本研究の目的は日本に脅威となる豚疾病の病理学的研究であるため新しくベトナムに発生したASFは口蹄疫以上の恐怖になっている。発生したASFについて病理学的に研究し、論文にした。その中で希有な回復する豚を発見したが、その回復した豚の病理学的解析を行う。さらに、可能であれば現在ベトナムで実施されている感染実験豚の病理学的解析を行う。豚流行性下痢(PED)については日本では流行が終息しつつあるが、変異が著しいので、散発している。新しく確立PEDV抗体検査用ELISA系(論文)で、ベトナムの豚ウイルス性下痢症の病理学的検査をするに当たって、ベトナムの汚染状況について調べている。
|
Research Products
(4 results)