2018 Fiscal Year Annual Research Report
日米共同研究によるIgG4関連疾患の国際的疾患概念の構築と新規診断法への展開
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17H04671
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森山 雅文 九州大学, 歯学研究院, 助教 (20452774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 康晴 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (00579831)
中村 誠司 九州大学, 歯学研究院, 教授 (60189040)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | IgG4関連疾患 / 日米共同研究 / ヘルパーT細胞 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の研究は、日米のIgG4関連疾患(IgG4-RD)の免疫学的差異について、以下の研究を行った。 1)IgG4-RD 患者の唾液腺における免疫細胞(ヘルパーT(Th) 細胞やマクロファージ)の検索 当科および米国のRagon研究所で収集した IgG4-RD 患者の唾液腺を用いて、自然免疫の中心的役割を担うマクロファージとCD4 陽性細胞(Th 細胞)の発現と局在について検討を行った。その結果、日米ともにIgG4-RD 患者の唾液腺では、シェーグレン症候群(SS)や慢性唾液腺炎(CS)患者に比べて、マクロファージでは M2 マクロファージ(CD163 陽性細胞)が優位に浸潤していた。さらに、DNAマクロアレイおよびバリデーションにて発現上昇を認める自然免疫関連分子を検索したところ、TLR7が候補分子として抽出された。唾液腺病変におけるTLR7の発現細胞を二重蛍光染色法にて確認すると、IgG4-RD患者のみM2マクロファージとほぼ発現が一致していた。 また、多重蛍光染色より免疫細胞の構成比を測定する最新の技術であるTissueFAXSTMで解析した結果、Th 細胞では濾胞性T細胞(CD4+IL-4+BATF+CXCR5+細胞)およびCD陽性細胞傷害性T細胞(CD4+GZMA+TGF-β+細胞)が優位に浸潤しており、特異的な免疫細胞の浸潤パターンがIgG4-RD の唾液腺に認められた。日米間での明らかな免疫学的な差異は認めなかったが、これらの濾胞性T細胞とCD陽性細胞傷害性T細胞は、患者の血清IgG4値と正の相関を示し。IgG4-RDの病態形成に深く関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫学的検討にてマクロファージおよびTh細胞ともにIgG4-RDに特徴的な細胞を同定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
IgG4-RD の診断にはキャッスルマン病や悪性腫瘍を慎重に鑑別・除外する必要がある。それは、単に「血清IgG4 高値」や「病変へのIgG4 陽性細胞の著明な浸潤」だけでは、鑑別疾患にも同様の現症を呈することがあるためである。また、確定診断には「包括的診断基準」と「臓器特異的診断基準」の2つの診断基準を用いないといけないため、煩雑で時間を要するの が現状である。そのため、本研究で抽出した日米共通の疾患感受性分子とその発現細胞を検索することにより、迅速で簡便な診断方法の確立に繋がることが予想される。 しかし実際にIgG4-RD の診断に応用できるか否かを検証するには少なくとも数百例が必要であるが、当科を含めた本研究の共同施設のみでこの症例数を集めることは不可能である。そのため、厚労省難治性疾患克服疾患事業「IgG4 関連疾患の診断基準並びに治療指針の確立を目指した研究」班に依頼して、研究班で収集した臨床データおよび組織を利用し、新規分子の検索が診断に有用か検証する予定である。
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[Presentation] Usefulness of labial salivary gland biopsy for the diagnosis and estimation of disease activity of IgG4-related disease2018
Author(s)
Mizuki Sakamoto, Masafumi Moriyama, Noriko Ishiguro, Yurie Mikami, Akihiko Tanaka, Takashi Maehara, Sachiko Furukawa, Miho Ohta, Masaki Yamauchi, Haque A. S. M. Rafiul, Akira Chinju, Keita Mochizuki, Ryusuke Munemura, Jun-Nosuke Hayashida, and Seiji Nakamura
Organizer
14th International Sjogren's Symposium
Int'l Joint Research
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