2020 Fiscal Year Annual Research Report
エージェントモデルによる薬剤投与戦略の構築-薬剤耐性菌の進化と拡散の防止
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17H04731
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
伊東 啓 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (80780692)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 薬剤耐性 / 進化 / シミュレーション / 公衆衛生 / 社会ネットワーク / 意思決定 / 社会的ジレンマ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究を遂行する中で、薬剤(抗生剤)使用と耐性菌出現の背景には、社会的ジレンマが存在することに気付いた。そして、抗生剤使用の意思決定に関する社会的ジレンマを様々な国で調査して比較することを思い付き、Web調査を展開した。具体的には、日本・米国・英国・スウェーデン・台湾・豪州・ブラジル・ロシアにおいて、大規模なWebアンケート調査を行うことで、人々の中に存在する社会ジレンマを観測している。結果としては、調査した全ての国から予想通り社会的ジレンマを観測することができた。これは、世界で初めて抗生剤使用の背景に存在する社会的ジレンマを観測したものであり、社会的ジレンマを認識している人々が各国の人口でどの程度の割合で存在しているのかを初めて明らかにした成果である。その一方で、大多数の人々が耐性菌の拡散という世界的な問題を問題視していないことが明らかになった。また興味深いことに、たまたま日本での調査では新型コロナウイルス感染症の流行前後で調査することができたのだが、流行の前後で調査結果に差が出なかった。これは、感染症の流行が実際に起こっても人々の意識の中に(社会的ジレンマの視点から言えば)変化が起こりづらい事を示しているのかもしれない。 また感染症に関する理論研究の業績としては、予定通りネットワークを導入した感染症の拡散モデルを開発した。これは広く性感染症に対応可能なモデルであり、性感染と母子感染が組み合わさった時の拡散効果や、男性同性接触の効果を型再生産数から導出することができる優れたものである。その他にも社会的ジレンマに深く関連するゲーム理論に関する論文をいくつか発表し、計6報の査読付き論文を発表するに至った。 これら成果は学会からも高く評価を受け、2021年8月には日本数理生物学会第16回研究奨励賞を受賞した。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(14 results)