2017 Fiscal Year Annual Research Report
肉離れ受傷リスクの個人差を生み出す遺伝要因の解明:遺伝子に着目した新規予防策構築
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17H04752
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
宮本 恵里 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 助教 (00793390)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スポーツ傷害 / 肉離れ / 遺伝子多型 / GWAS / 筋スティフネス |
Outline of Annual Research Achievements |
肉離れの受傷しやすさには個人差が存在し、そこには遺伝要因が関与している。本研究は、肉離れ受傷リスクの個人差を生み出す遺伝要因(遺伝子多型)を明らかにし、その遺伝子多型がどのようなメカニズムで肉離れ受傷リスクに影響を及ぼしているかを解明することで、肉離れ受傷の分子メカニズムを基盤とした新たな肉離れ予防策の構築へとつながる情報を得ることを目指す。平成29年度は肉離れ受傷リスクの個人差を生み出す遺伝子多型を明らかにするため、全ゲノム関連解析を実施した。日本人集団のもつ遺伝子多型を高精度で解析可能なジャポニカアレイを使用し、200名の肉離れ受傷経験のあるアスリート(症例群)と250名の肉離れ受傷経験の無いアスリート(対照群)を対象として約66万多型の解析を行った。解析により得られた66万多型の情報を、日本人約3000名のリファレンス情報と組み合わせることで、アレイでは解析していないヒト全ゲノム約30億塩基対を統計学的な手法により構築した。これまでに行った解析により、肉離れ受傷経験と関連する遺伝子多型がエストロゲン受容体遺伝子やI型コラーゲンα鎖遺伝子上に存在することが明らかとなった。また、これらの遺伝子多型とヒト生体における筋の特性との関連性を検討した。超音波剪断波エラストグラフィーにより安静時の筋の硬さを測定し、これらの遺伝子多型との関連性を検討した結果、肉離れ受傷経験者で頻度が高かった遺伝子型の保有者は、非保有者と比較して筋が硬い傾向を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた通り、約200名ずつの症例群と対照群で全ゲノム関連解析を実施した。また、肉離れ受傷経験と関連が認められた遺伝子多型について、骨格筋の特性との関連性も検討した。研究成果の一部について現在論文を投稿中(査読中)である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、全ゲノム関連解析により明らかとなった肉離れ受傷経験と遺伝子多型の関連性について、その一般性・普遍性を確認するため、異なる集団において再現性の確認を行う。また、肉離れ受傷経験と遺伝子多型の関連性のメカニズムを解明するため、同定された遺伝子多型が遺伝子の機能にどのような影響を及ぼしているかを検討する。
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