2019 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの被ばく線量を評価できる体液中RNAの探索と新規診断法の開発
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17H04761
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
千葉 満 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (20583735)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 放射線被ばく / 血清中miRNA / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は前年度に引き続き、放射線被ばくによって発現変化する血清中miRNAの発現バリデーションと由来臓器の検討を行った。 大人期(8週齢)のマウスC57BL/6NJcl雄に高線量X線を照射しmiRNAマイクロアレイ解析を行ったところ、血清中で増加するmiRNAを21種類同定した。これらのmiRNAのうちmiR-375-3pに着目して以下の解析と結果を得た。① 血清中miR-375-3pの発現バリデーションを定量PCRによって確認でき、さらに線量依存性も確認できた。② 血清中miR-375-3pは何らかの細胞外小胞に内包した状態で血清中に存在することが示唆された。③ miR-375-3pの発現臓器を調べたところ、膵臓、小腸、大腸のような消化器系の臓器に高発現しているmiRNAであることが明らかになった。④ 高線量X線を照射した小腸においてmiR-375-3p発現が減少した。これらの結果、放射線曝露によって放射線感受性の高い小腸組織からmiR-375-3pが血清中に漏出し、そのため血清中miR-375-3p発現が増加したと示唆される。 これらの成果は大人期(8週齢)のマウスを使用して得られた結果であり、子ども期(3週齢)にも同様の現象が生じるか次年度以降で検討する予定である。最終年度はこれまでの成果をまとめ論文化を目指すとともに、将来の臨床検査への応用を目指した検討(感度・特異度や迅速検出法の検討)を実施していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
○被ばくによって血中で発現変化するmiRNAバイオマーカー候補のスクリーニング(達成度100%) 大人期のマウスにおいて血清中miR-375-3pの被ばく線量依存性が確認された。子ども期については次年度検討していく。さらに他の被ばくバイオマーカー候補の探索も引き続き行っていく。本解析によって得られた成果は原著論文として学術雑誌に投稿する準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
①子ども期における血清中miR-375-3pの発現変化 ②既知バイオマーカーとの比較と診断能比較解析 ③研究成果の論文化
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Research Products
(12 results)