2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H04833
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三木 謙二郎 東北大学, 理学研究科, 助教 (80727090)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 実験核物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「中性子のみ」あるいは「陽子のみ」から構成される系が原子核を形成できるのか、そうした系の中では核力がどのように作用しているのか、という疑問に対して、実験的なアプローチを行う。特に我々は少数系と多体系の橋渡しに極めて重要となる三核子系の研究に主眼を置き、理化学研究所RIBF施設において三中性子系の観測実験を行うことを計画している。具体的には、三重水素標的に対して荷電交換型(t,3He)反応を測定することで終状態に三中性子(3n)系を生成し、質量欠損法を用いることでその励起エネルギースペクトルを決定する。そのスペクトルの形状から、3n系の原子核としての安定性や3n系内に働く核力の様相を議論することが可能となる。2017年12月に開催されたRIBF施設の実験課題採択委員会で本プロジェクトのビームタイムを申請したところ、好評価を受けて承認された。 我々は本研究を行うために三重水素標的の検討・開発を進めている。標的本体の仕様として、液体型、気体型、固体吸着型、三種類の場合それぞれについて検討を行い、設計、シミュレーション、安全性評価を、理化学研究所、富山大学、東京大学らとも共同で推進してきた。また、試作品の性能評価実験を東北大学CYRIC施設において遂行した。こうした標的開発の現状については国内の学会や、海外のワークショップなどで発表を行い、関係する研究者と広く情報共有を行っている。 同時に、RIBF実験で必要となる検出器群の開発も進めている。本年度は入射ビームの飛跡を決定するための多芯線ドリフトチェンバーの開発を行った。実際に、これらの性能評価実験もCYRIC施設において遂行した。飛跡検出効率99%以上、位置分解能200μm以下の性能を有することが明らかとなり、これらはRIBF実験に必要とされる性能を十分に満たすことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要テーマであるRIBF実験のビームタイムが実験課題採択委員会で認められたのは大きな進展であった。三重水素標的については、関係各所と緊密に連絡を取り合いながら着実に検討・開発を推進している。また、検出器の開発については、今後の開発を進める上での基礎は築かれたので、今後標的周囲に設置する検出器群等の開発を重点的に推進する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き、三重水素標的の開発・製作、RIBF実験の為の検出器開発を推進する。また、三中性子系と荷電対称な三陽子系を観測する実験も大阪大学RCNP施設を用いて実施予定である。この実験に必要となる実験装置の開発も同時並行で推進し、実際に実験を遂行したい。また、RIBF実験やRCNP実験で得られるデータを物理的に解釈する際に必要となる理論計算を、関係する理論研究者と共に議論・検討していきたい。
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Research Products
(6 results)