2019 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体・ミトコンドリア膜間領域の破綻に基づくALS病態の統合的理解
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17H04986
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邊 征爾 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (70633577)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / σ1受容体 / TBK1 / FUS |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はAPEX2を融合させたσ1受容体を用いて、新規のMAM関連分子の同定を目指した。その結果、σ1受容体の発現依存的に増加するバンドを複数同定することができた。これらのバンドを質量分析にかけた結果、既報でMAMに局在が報告されている分子を含め、およそ20種類のタンパク質を同定した。多くのタンパク質が小胞体膜上およびミトコンドリアのタンパク質であったことから、本手法は相互作用候補の同定としては妥当と考えられた。このうち、ミトコンドリアに局在する分子に着目して、更なる解析を行う計画である。また、スクリーニングで見出したMAMに影響を及ぼすALS原因遺伝子に関して、MAMの制御に関わる因子の同定を目指した。TBK1については、σ1受容体と同様にAPEX2を融合させて、TBK1によるMAM制御に関わる基質の同定を目指した。しかし、APEX2によるビオチン化産物をストレプトアビジンビーズで精製したものの多くの非特異的バンドが存在し、TBK1の発現によって特異的に増加するバンドを見いだせなかった。従って、新たにTBK1を発現させた細胞においてMAMを含んだ粗ミトコンドリア画分を抽出し、Phos-tagを用いて精製することでTBK1依存的に増加するタンパク質を同定する方策に転換した。また、FUSの下流因子として小胞体膜上のタンパク質であるTMCC3に着目して解析を行っていたが、FUSによる制御は見られず、こちらも新規候補分子を同定することからやり直すこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は先に述べたようにσ1受容体について、有望なMAM関連分子の候補を同定できた一方、TBK1やFUSについては、非特異的な結合タンパク質の影響や候補分子が実際にMAMに影響しないことが明らかになるなど、下流分子の同定につながる十分な実験結果を得ることが出来なかった。このため、当初計画よりも遅れることとなるが、手法を変えて候補分子を同定することを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
σ1受容体との相互作用分子の候補として得られたミトコンドリアタンパク質については、クローニングを行って共免疫沈降法などで相互作用を確認するほか、そのタンパク質がMAMの量や機能に与える影響を既に樹立したpMAMtrackerなどを用いて検討する。TBK1やFUSについては、Phos-tagを用いた精製法に変えるなどの工夫によって、別の候補分子の同定を目指す。pMAMtrackerについては、手法開発の成果を論文として今年度中に投稿する計画である。
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Research Products
(5 results)