2017 Fiscal Year Annual Research Report
長寿社会における世代間移転と経済格差: パネルデータによる政策評価分析
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17H06086
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
樋口 美雄 慶應義塾大学, 商学研究科(三田), 特任教授 (20119001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 勲 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (20453532)
赤林 英夫 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (90296731)
駒村 康平 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (50296282)
瀬古 美喜 武蔵野大学, 経済学部, 教授 (60120490)
土居 丈朗 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (60302783)
大垣 昌夫 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (90566879)
McKenzie Colin 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (10220980)
黒田 祥子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50447588)
鶴 光太郎 慶應義塾大学, 商学研究科(三田), 教授 (80371178)
大久保 敏弘 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (80510255)
敷島 千鶴 帝京大学, 文学部, 教授 (00572116)
隅田 和人 東洋大学, 経済学部, 准教授 (10350745)
直井 道生 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 准教授 (70365477)
山田 篤裕 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (10348857)
別所 俊一郎 財務省財務総合政策研究所(総務研究部), 総務研究部, 総括主任研究官 (90436741)
寺井 公子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (80350213)
井深 陽子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 准教授 (20612279)
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Project Period (FY) |
2017-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 長寿社会 / 世代間移転 / 経済格差 / パネルデータ / エビデンス・ベースド・ポリシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、長寿社会と経済格差の関係に焦点を当て、長寿社会に起因する経済格差の発生メカニズム、さらには、経済格差が長寿社会での人々の暮らしや働き方、健康、社会経済の諸制度・政策、消費行動・生産行動、資産形成、結婚、出産などの家族形成、保育・教育などの次世代育成などに与える影響について、三世代の世帯(同居・非同居)を含む多様な家計を追跡するパネルデータの構築・解析を通じて多角的に研究する。
本年度は、長寿社会における経済格差研究に関する理論的・実証的研究を整理・評価するとともに、家計パネルデータ等を用いながら各研究班で設定したテーマに沿って分析を進めた。各研究班の研究実績としては、論文37本(うち査読付論文11本)および図書10冊となっており、パネルデータなどを用いた経済格差のメカニズムや影響の解明を進めた。
「日本家計パネル調査」については、調査回答者の親世代・子世代の情報を多く盛り込んだ調査を実施した。また、非同居の家族も含めた調査回答者の子世代への調査の方法や内容を検討するワーキンググループを立ち上げ、効率的・効果的な3世代調査への拡充の道筋を固めた。さらに、日本を代表するパネルデータとして、ルクセンブルク所得研究(LIS)へ「日本家計パネル調査」を提供したほか、オハイオ州立大学が指揮をとる国際パネルデータベースCross-National Equivalent File(CNEF)への提供準備を進めた。このほか、パネルデータの質の維持・向上のため、「日本家計パネル調査」の標本脱落やサンプル追加により発生するサンプリングバイアスの修正を行うウェイトの作成を諸外国(韓国やイギリス)の家計パネルデータの設計・解析機関と連携して進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
パネルデータなどを用いた経済格差のメカニズムや影響の解明については、初年度であるにもかかわらず、既存のパネルデータなどを活用して積極的な研究を各研究班が実施し、計画以上の研究実績を積み上げている。「日本家計パネル調査」の3世代調査への拡張については、既存の調査回答者への調査は、親世代・子世代の情報を多く盛り込むことで3世代間の経済的・非経済的関係性を明らかにすることが可能となった。非同居の家族も含めた調査回答者の子世代へ調査回答者を拡げる新規調査は、本課題のヒアリング審査時の助言等を踏まえて、調査方法について慎重な検討が必要と判断し、実施を1年繰り越した。その間、専門的なワーキンググループを立ち上げて集中的な検討を進め、分析に有効な拡充サンプルの取り方や調査方法・調査項目を入念に検討した。具体的には、プライバシー等に配慮した調査項目の慎重な調整、ウェブによる調査回答を可能にするシステムの構築、適正な回答謝金構造の設計、依頼状等のデザインの刷新など、可能な限りの方策をとることにした。その結果、既存回答者の継続回答率に影響を与えることなく、3世代にまたがるさまざまな情報を効率的に収集することが実現した。また、こうした新規調査を開始することで、ウェイトによるサンプルバイアスの補正の必要性はより一層高まるため、「日本家計パネル調査」のウェイトの作成方法を入念に検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
パネルデータなどを用いた経済格差のメカニズムや影響の解明については、次年度以降も、パネルデータ等を活用して積極的な研究を各研究班が遂行するとともに、班リーダー会議や調査票策定会議、国内・国際ワークショップなどを通じた連携を研究班間で強めていく。3世代調査への拡張を果たした「日本家計パネル調査」については、長寿社会における経済格差構造の解明につながりうるパネルデータとしての研究基盤の構築を進める。その際には、サンプルバイアスを補正するウェイトの作成・提供を進めるなどして、データのクオリティ面でもグローバルスタンダードを目指す。
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Research Products
(74 results)