2017 Fiscal Year Annual Research Report
Fusion of sensing and simulation of tsunami damage assessment towards innovation of disaster medical system
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17H06108
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
越村 俊一 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (50360847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江川 新一 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (00270679)
近藤 久禎 独立行政法人国立病院機構災害医療センター(臨床研究部), 臨床研究部, その他 (20332348)
マス エリック 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (30648374)
小林 広明 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (40205480)
金谷 泰宏 国立保健医療科学院, その他部局等, 部長 (40506317)
太田 雄策 東北大学, 理学研究科, 准教授 (50451513)
柴崎 亮介 東京大学, 空間情報科学研究センター, 教授 (70206126)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | 津波 / 災害医療 / 広域被害把握 / シミュレーション / リモートセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
シミュレーションにより,即時に被害状況および病院の被害状況を予測し,医療機関の機能維持,病院の支援に資するための予測モデルの体系を検討した.主要な成果は以下の通り. 1) 国土地理院のGEONETによるリアルタイム地殻変動情報を用いた震源断層即時推定手法を開発した.未知パラメータを事後確率分布として得られるマルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC法)を用いた1枚矩形断層の推定手法を開発した.得られた断層パラメータを初期条件として,リアルタイムで浸水被害予測を行うシミュレーションモデルを開発した. 2) 浸水域内の動的な人口推定に基づく被災者人口の高度推定手法の構築に取り組んだ.2011年東日本大震災時の携帯電話のGPSデータのラベリングを行い,総人口に対するサンプル率約1%となるデータを抽出した.また,東日本大震災時の死者名簿のジオコーディングを行い,浸水域内の死亡者と浸水深のデータセットを作成した. 3) 東日本大震災により被害を受けた岩手県,宮城県沿岸地域の医療機関の記録を用いて,被害予測モデル構築に向けた病態遷移パラメーターを設定した.南海トラフ地震を想定したDMATによる大規模地震時医療活動訓練において,事前に収集した津波による被害予測情報,病院の位置情報・建物構造情報,津波による病院への被害予測情報を基に実施し,津波浸水域,ライフラインの状況,病院へのアクセス状況などを検証した. 4) マルチエージェントシミュレーションを災害医療活動に適用し,医療救護班の適時・適材・適所の最適配備条件を求めるための災害医療MASの基礎構築に取り組んだ.宮城県石巻市の浸水域内の医療搬送をモデル化し,浸水エリアからの浸水域害の拠点病院への被災者搬送を模擬するシミュレーションを構築した. 主な受賞は,文部科学大臣賞「情報化促進貢献個人等表彰」,The Third JDR Awardの2件.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,当初立案した4つの主要課題について,研究メンバーが分担・連携しながら順調に研究を進捗させることができた.特に,津波浸水被害予測チームと災害医療チームは,南海トラフ地震を想定した医療訓練にも参加し,現場の医療活動に近い状況での災害シミュレーションの必要性やニーズの調査を行うことができたため,次年度以降のシミュレーション開発に向けた有益な示唆を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
「広域被害把握技術」の深化を目指し,以下の計画を立案している.
1) 高分解能津波浸水被害予測シミュレーションの高速化・高度化に取り組む,全国に対応可能な高分解能浸水シミュレーションを実施するための計算資源を明らかにした上で計算格子配置の最適化を図り,より少ない格子数で高分解能かつ高速なシミュレーションを可能にする. 2) 津波浸水シナリオに基づく医療施設の機能損失評価モデルを確立する. 3) 浸水域内人口と死者数の関連性の再評価を行う.東日本大震災直後に公表された犠牲者の居住地に関するデータを死者数を地区単位で再集計し,浸水域内人口に対する死亡率を明らかにする. 4)災害医療活動のモデル化を行う.DMATの災害医療訓練における医療従事者の動きを観察・記録し,その行動ルールを明らかにする.次に,得られた行動ルールからマルチエージェントシミュレーションのエージェントの行動モデルを構築し,災害医療訓練の医療従事者の動きを模擬・検証する.
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Research Products
(46 results)