2018 Fiscal Year Annual Research Report
Advancing Japanese Bibliographics and Improving the Accessibility of Documents Held by Royal and Aristocratic Archives - Clarifying the Structure and Transmission of Knowledge Systems
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17H06117
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田島 公 東京大学, 史料編纂所, 教授 (80292796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 重雄 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (40313192)
遠藤 基郎 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (40251475)
松澤 克行 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (40282529)
末柄 豊 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (70251478)
吉川 真司 京都大学, 文学研究科, 教授 (00212308)
金田 章裕 京都大学, 文学研究科, 名誉教授 (60093233)
馬場 基 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 室長 (70332195)
小倉 慈司 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (20581101)
山口 英男 東京大学, 史料編纂所, 教授 (40182456)
加藤 悠希 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (80790815)
岸 泰子 京都府立大学, 文学部, 准教授 (60378817)
鶴見 泰寿 奈良県立橿原考古学研究所, 附属博物館学芸課, 指導学芸員 (70270775)
藤井 恵介 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 名誉教授 (50156816)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | 日本目録学 / 東山御文庫 / 内匠寮本中井家文書 / 京都御所造営関係資料 / 一条家文庫 / 近世公家日記 / 陽明文庫設立80周年記念特別研究集会 / Hi-Cat Plus |
Outline of Annual Research Achievements |
①東京大学史料編纂所閲覧室の所内専用の画像閲覧システムであるHi-Cat Plusで公開中の画像約100万画像をIIIF(トリプルアイエフ)対応に全て改修し、それに伴う所外公開が可能な閲覧システムを開発した。②書陵部所蔵鷹司家本等約6千件・近世公家日記類等約7万件、東山御文庫別置本約2万件他のデジタル画像約9万5千件を収集した(2年間累計約14万3千件)。 ③昨年度蒐集したa『皇室の至宝 東山御文庫御物』の為に撮影された4×5カラーフィルムよりデジタル化した画像約2千件とb平井聖『中井家文書の研究』の為に撮影した書陵部所蔵「中井家文書」の4×5モノクロフィルムよりデジタル化した画像約2千件を、それぞれ収載書籍に収載された図版と対照したExceを作成し、その結果、bに未収録のデジタル画像約4百件を初めて確認した。④繰越し撮影した書陵部所蔵中井家本の安政度御所造営関係資料(帳簿類)約8千件に関して、寛政度の帳簿類と比較検討し、史料群の性格などに関して考察すると共に、内裏造営での釘の使用に関して国際学会で研究報告を行った。 ⑤1945年の東京大空襲で焼失した一条家文庫に関して『兼輝公記』『兼香公記』など一条家当主の日記を読み解き、一条家の学問や近世以降の文庫の変遷に関して解明した。⑥古代から近代の天皇家の文庫の変遷や収蔵品の性格に関して再検討を行い、大阪大学大学院で通史的な講義を行った。⑦『日本古代人名辞典』増補改訂版の原稿の修正、木簡記載の人名に関して、継続的に原稿の作成・入稿を行い、旧版に関して新研究の成果を盛り込んだ原稿を再入稿した。 ⑧市民向けに、陽明文庫講座1回、 西尾市岩瀬文庫講座2回、金鵄会館にて「続・古典を読む」を15回行った。更に東京大学にて研究者を中心に「設立80周年記念陽明文庫特別研究集会」を開催し、陽明文庫所蔵資料の最新の研究成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宮内庁書陵部所蔵の禁裏・公家文庫収蔵史料のデジタル画像約70万件のWeb公開に関しては2018年度の公開を目指していたが、国際的なアーカイブの規格としてIIIF(トリプルアイエフ、International Image Interoperability Framework)が国際標準となり、国立国会図書館などに採用された状況に鑑みて、それに対応する必要があり、これまでに蒐集した全てのデジタル画像に改修を加えたため、Web公開は来年度へ持ち越している。IIIF対応は、英国図書館・フランス国立図書館、オックスフォード・スタンフォード・プリンストン・イェールなどの各大学など、世界的な機関でも採用した規格と聞いているので、新たな状況に対応した、将来を見据えた上での改修・変更であり、3年目の2019年度での公開を目指して、順調に進んでいると言える。 一般向けの「陽明文庫講座」の他に、2018年7月15日に東京大学本郷キャンパスで研究者向けの「特別研究集会」を開催し、学習院大学客員研究員の皇太子徳仁親王(今上天皇)にも陽明文庫所蔵『車図』の研究報告をいただいた他、『信長公記』・『勘例』・『兵範記』紙背文書・『猪御記目録』・『明月記』紙背文書・『後法興院関白記』『雑事要録』紙背文書などに関して、充実した新しい研究成果を多数報告し、その内容は当日配布した「記念図録」(全33頁)に反映することができ、更に陽明文庫本『宮城図』に関連し、昨年度蒐集した、学界未紹介の東山御文庫本『大内裏図』のデジタル画像の紹介も初めてできたから。 蒐集した「中井家文書」の図面類・安政度御所造営帳簿類のデジタル画像の内容の検討が出来るようになり、日本建築史学の研究者を中心に史料群の検討など、検討会を京都府立京都学・歴彩館と東京大学史料編纂所で開催でき、「中井家文書」研究のスタートを切ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
①IIIF対応のViewer開発などの課題もあるが、伏見宮家本・九条家本・柳原家本など、宮内庁書陵部所蔵の禁裏・公家文庫収蔵史料約70万件のWeb公開は2019年度に行い、画像の国際発信を行いたい。一方、IIIF対応にしたことにより、デジタル画像1件当たりのデータ量が従来の4倍となり、既存のストレージでは対応できなくなったため、安定的なWeb公開のため、サーバーを増強する。 ②古代の木簡記載の人名約7千件等を増補し、天応元年(781)までの人名を網羅した『日本古代人名辞典』の増補改訂版の刊行は、辞典と言う性格上、記述の正確さが求められるため、2020年度を目指しているが、並行して延暦~仁和年間の「五国史」に記載された人名データベースの作成に着手する。 ③3年目を迎えるため、これまでの研究成果の中間まとめとなる『禁裏・公家文庫研究』7輯(思文閣出版)及び『中間報告書』を刊行する。 ④「中井家文書」(帳簿類)のうち、未撮影の「寛政度御所造営関係資料」(約3万2千件)のデジタル撮影に着手する(残り3年間での撮影完了を目指す)。 ⑤日本目録学の国際発信のため、田島公「文庫論」(『岩波講座日本歴史』22 2016年)の中国語訳・ロシア語訳などの作成を試みる。
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Research Products
(52 results)