2019 Fiscal Year Annual Research Report
Transmission Muon Microscope by muon microbeam, realizing 3-D Imaging
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17H06126
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
三宅 康博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (80209882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永谷 幸則 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別准教授 (00393421)
吉田 光宏 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (60391710)
林崎 規託 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (50334537)
荻津 透 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 教授 (30185524)
大西 純一 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 特別嘱託技師 (30634703)
鳥養 映子 山梨大学, その他部局等, 客員教授 (20188832)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | ミュオン / 超低速ミュオン / レーザー / 顕微鏡 / 量子可干渉性 / 波動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
透過ミュオン顕微鏡に用いる超低速ミュオンに厚い試料への透過能をもたせるための再加速装置である5MeVミュオンサイクロトロンが完成した。本年度、サイクロトロンの主磁石を作成するとともに、サーチコイルを用いた超精密(10(-5)精度)かつ高勾配(10%/cm)の磁場を計測可能な3次元磁場測定装置を開発し、これらを用いて精密磁場測定、磁場計算と磁極調整(シミング)をくりかえし、目標とする最大0.5T強度で10(-5)精度の等時性磁場の形成に成功した。磁場測定装置の開発では、低膨張ガラス立方体にコイルを巻き、超低ドリフトアンプ、24bitADC、14bitロータリーエンコーダー、FPGA処理装置を組み合わせ、必要な精度を得た。 また、サイクロトロンに高安定な108MHzと324MHzの電磁波(RF)を供給する発振器、プリアンプ、パワーアンプ等も開発した。GPS原子時計に同期した源発信をPLLにより上記周波数に変換し、複素変調器、複素復調器、ADC、DACとFPGAを組み合わせたフルデジタルなRF制御系の開発も進めた。並行して、透過ミュオン顕微鏡に用いる超伝導対物レンズの超伝導コイルのヘリウム冷却・起動試験を実施し、目論見通りの磁場(最高4.2T)分布が得られる事を確認した。また、ミュオン回折実験のデーター解析も進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5MeV以上までミュオンを再加速することにより電子顕微鏡では不可能な10um以上厚さの試料の透過ミュオン顕微観察が可能となる。我々は寿命の短いミュオンを短時間で効率よく加速する手法としてサイクロトロンが最適であることを見出した。顕微鏡としての分解能を得るためには、エネルギー分散・安定度を10万分の1レベルに抑える必要があるため、サイクロトロンにフラットトップRF加速技術を採油した。これまでに、サイクロトロンの基本設計、軌道計算、機械設計、磁石設計、磁石の製造、磁石の磁場測定と精密調整(シミング)、サイクロトロンへのRF共振空洞・真空箱などの取り付けまで完了し、KEKつくばキャンパスにおいて、最終的なRF調整を実施している。磁場測定・磁石の調整では、サーチコイルを用いた超精密(10(-5)精度)かつ高勾配(10%/cm)の3次元測定装置を新規開発し、10(-5)安定度を実現する等時性磁場の生成に成功した。 透過力が強く磁場で曲がりにくい再加速ミュオンを収束・結像させるための超伝導対物レンズの技術を日本電子㈱より供与を受けた。超伝導レンズ用のクライオスタットを開発、冷却・再起動試験を実施し、狙った通りの磁場が生成することを確認した。ミュオンの2次元イメージング装置として、蛍光板付きのMCPが有効であることを確認し、ミュオン回折実験を実施したほか、サイクロトロン内部でのビームモニタとしてのカメラ付きMCP装置も開発している。
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Strategy for Future Research Activity |
KEKつくばキャンパスで開発しているミュオンサイクロトロンをMLFに移設し、J-PARC/MLFのUラインに接続し、超低速ミュオンのビーム加速試験(5MeV)を実施する。ミュオン再加速の確認後、透過ミュオン顕微鏡の対物レンズ系を連結し、世界初の透過ミュオンイメージング実験を実施する。最初は常伝導コイルを用いた低倍の透過イメージング実験を行い、最終的には、超伝導コイルに入れ替えることで、高倍率の透過イメージング実験を実施する。高倍率イメージングでは、固定した細胞や凍結した細胞のミュオンCTイメージング実験を実施する予定である。
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Research Products
(25 results)
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[Journal Article] MUON CYCLOTRON FOR TRANSMISSION MUON MICROSCOPE2019
Author(s)
T. Yamazaki, T. Adachi, Y. Nagatani, Y. Miyake,J. Ohnishi, A. Goto, Y. Kumata, S. Kusuoka, T. Onda, H. Tsutsui
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Journal Title
Proceedings of International Conference on Cyclotrons and their Applications (CYC2019)
Volume: 2019
Pages: 209-212
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] J-PARCにおける超低速ミュオンビームのコミッショニング状況82020
Author(s)
足立泰平, Sourav Kumar Dey, Amba Datt Pant, 池戸豊, 大石裕, Patrick Strasser, 伊藤孝, 髭本亘, 牧村俊助, 河村成肇, 下村浩一郎, 門野良典, 三宅康博, 鳥養映子
Organizer
日本物理学会第75回年次大会
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[Presentation] 透過型ミュオン顕微鏡のためのフラットトップRFサイクロトロンの開発2020
Author(s)
山崎高幸, 永谷幸則, Patrick Strasser, 足立泰平, 池戸豊, 三宅康博, 安達利一, 大西純一, 後藤彰, 熊田幸生,楠岡新也, 恩田昂, 筒井裕士,
Organizer
日本物理学会第75回年次大会
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[Presentation] J-PARCにおける超低速ミュオンビームのコミッショニング状況72019
Author(s)
足立泰平, Pant Amba Datt, 池戸豊, 大石裕, Patrick Strasser, 伊藤孝, 髭本亘, 牧村俊助, 河村成肇, 下村浩一郎, 門野良典, 三宅康博, 鳥養映子
Organizer
日本物理学会2019年秋季大会
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