2020 Fiscal Year Annual Research Report
Algebraic geometry and Integrable systems - Deepning of Theory and New Developments in Mathematics and Mathematical Physics -
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17H06127
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
齋藤 政彦 神戸学院大学, 経営学部, 教授 (80183044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 泰彦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (00202383)
太田 泰広 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10213745)
望月 拓郎 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (10315971)
吉岡 康太 神戸大学, 理学研究科, 教授 (40274047)
Rossman W.F 神戸大学, 理学研究科, 教授 (50284485)
野海 正俊 神戸大学, 理学研究科, 名誉教授 (80164672)
大仁田 義裕 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (90183764)
三井 健太郎 神戸大学, 理学研究科, 助教 (70644889)
佐野 太郎 神戸大学, 理学研究科, 助教 (10773195)
光明 新 神戸大学, 数理・データサイエンスセンター, 講師 (90760976)
岩木 耕平 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (00750598)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | 可積分系 / モジュライ空間 / モノドロミー保存変形 / パンルヴェ方程式 / 量子コホモロジーとミラー対称性 / 混合ツイスターD加群 / WKB漸近解析 / 高次元双有理幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
非特異射影曲線上の確定特異点、および不分岐不確定特異点を有する安定放物接続のモジュライ空間については、 稲場・岩崎・齋藤、稲場、稲場・齋藤が基本的な代数幾何学的存在定理および、シンプレクテック構造の存在やリーマン・ヒルベルト対応が双有理固有正則写像である事を証明した事により、モノドロミー保存変形の微分方程式系が幾何学的パンルヴェ性を持つことの厳密な証明を導いた。この方面では、 研究協力者の稲場が現在、 残っている一般的な分岐を許す不確定特異点の場合について非得意なモジュライ空間の構成とシンプレクテック構造の構成をおこない、論文を投稿中である。見かけの特異点とその双対座標を用いたHigg場のモジュライ空間の標準座標の理論は底曲線が射影直線の場合古典的に知られていたが、 齋藤とSzabo によって一般の種数に拡張された。また、放物接続のモジュライ空間の場合は、齋藤、Szabo、Loray、光明により詳細な理論を構築している。光明は、曲線上の放物接続のモジュライ空間上のモノドロミー保存変形を特徴付ける代数的2形式と、そのハミルトニアンによる表示を与えた。望月は、3次元平坦トーラス上のモノポールと楕円曲線上の差分加群の対応を示した。また、D'Agnoloと柏原が示した一般的な正則D加群におけるリーマン・ヒルベルト対応のEssential Imageを単位円盤からの正則写像による引き戻しによって特徴付けができることを示した。野海と山田は、Ruijsenaarsとの共同研究で、8パラメータを持つSakaiの楕円差分方程式系とvan Diejenによって導入された8パラメータCalogero-Moser Hamiltonian系との対応を示した。岩木はパンルヴェI型方程式の形式的τ関数を、位相的漸化式の相関関数の離散フーリエ変換で構成される事を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代数曲線上の放物接続のモジュライ空間の構成、モノドロミー保存変形によるパンルヴェ型微分方程式系の導入、代数的シンプレクテック構造などについては、齋藤、稲場、光明、Loray、Szaboによる研究が進展しているが、特に残された分岐する不確定特異点を持つ場合の理論が稲場によって完成しつつある。また見かけの特異点理論によるモジュライ空間の標準座標の理論も、一般種数の場合において進展しつつあり、モジュライ空間、すなわち微分方程式系の相空間や微分方程式の表示についても明確になりつつある。今後、より具体的な計算が可能なレベルになる事が期待される。望月の微分幾何学的対象と代数幾何的対象の対応関係の確立や、複素多様体上の不確定特異点をもつ正則D加群に関する深い研究は大きな進展を見せている。野海と山田は、離散可積分系の理論において多くの研究成果を得ており、深い成果に結びついている。野海は、特殊関数の分野で多くの共同研究を進めており本質的な成果をあげている。吉岡、三井、佐野は代数幾何学分野の研究でそれぞれ良い成果を得ている。吉岡はベクトル束のモジュライ空間、三井はネロンモデルの構成、佐野はケーラーでないカラビ・ヤウ多様体について、3次元以上の各次元で無限個の位相型を構成した。大仁田は「微分幾何学と可積分系」の国際研究集会を予定していたが、コロナの為に延期された。2020年度の後半に、Zoomによるセミナー「Web-Seminar on Painleve equations and related topics」を開始した。日本とヨーロッパの関連数学者が主に参加している。また、2021年2月にはTATA研究所で開催する予定であった研究集会の代わりに、「Indo-Japan Web-Workshop on Vector Bundles and Related Topics」をZoomで開催した。
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Strategy for Future Research Activity |
接続のモジュライ空間とリーマン・ヒルベルト対応の幾何学は代数幾何学的な基礎付けは、確定・不分岐不確定・分岐不確定の場合を込めてほぼ完成した。これによりモノドロミー保存変形から得られる可積分系のパンルヴェ性やハミルトニアン形の構造などの背景の理解は各段に進んでいる。一方で、見かけの特異点理論による標準座標の理論は、射影直線上の場合に詳細な理論があるが、高い種数の場合にはこれから詳細な理論の構築が必要になる。また、τ関数のフーリエ展開と共形場理論との関係、位相的漸化式との関係、WKB解析等の関係については、種々の興味深い結果は得られているが、その総合的理解はこらからの課題である。離散可積分系についても、その具体的な表示を含めてさまざまな研究が進んでいるが、モジュライ理論やリーマン・ヒルベルト対応の幾何学的アプローチも進んでいる。望月は、連続の場合にも離散の場合にも重要な結果を得ており、今後の研究に応用される事が期待される。ミラー対称性予想との関連でいえば、カラビ・ヤウ多様体のグロモフ・ウイッテン不変量の相関関数とBPS不変量の相関関数の関係など種々の興味深い予想があるが、今後数学的な枠組みで理解される事が望まれる。2020年度は、新型コロナ禍の中で対面による共同研究が不可能になったが、Zoom等を利用した共同研究やセミナー・研究集会が導入された。コロナ禍が収束するまで今後もこの方向性で研究を進め,コロナ禍が収まれば、国内外の研究者との対面での共同研究を推進する。
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Research Products
(46 results)