2019 Fiscal Year Annual Research Report
Establishing processes of galaxy structure revealed by a Subaru tomographic adaptive optics
Project/Area Number |
17H06129
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋山 正幸 東北大学, 理学研究科, 教授 (50425401)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 生 国立天文台, TMTプロジェクト, 准教授 (40399275)
小山 佑世 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (40724662)
高遠 徳尚 国立天文台, ハワイ観測所, 教授 (50261152)
有本 信雄 国立天文台, ハワイ観測所, 名誉教授 (60242096)
美濃和 陽典 国立天文台, ハワイ観測所, 准教授 (60450194)
|
Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
|
Keywords | 補償光学 / トモグラフィー / 銀河進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究により開発を進めているトモグラフィー補償光学の実証観測に向けて、4台の波面センサーからなるトモグラフィー波面センサーユニットの光学・機械設計の最終設計を固め、部品製作を行った。製作・購入をすすめたチップチルトステージなども組み込みを行い、波面センサーユニット全体としてほぼ構成を完成させることが出来た。トモグラフィー波面測定の精度向上において重要な事前情報となる大気揺らぎの高さ方向の分布をリアルタイムで推定する手法について、シンチレーションを用いた独自の手法を開発し、小型の望遠鏡を用いた実証評価を行い、学会での発表を行った。プロトタイプとして製作したシャックハルトマン波面センサーについては制御系およびデータ取得系のソフトウェアの製作を完了し、波面測定の実験を行い、ハワイ観測所への輸送に向けて準備を整えた。すばる望遠鏡の既存補償光学系AO188の可変系鏡を多素子可変形鏡に更新する開発についても、可変系鏡の製作を進め、補償光学系への搭載に向けためどをつけることが出来た。研究分担者である美濃和を中心として開発を進めたレーザーガイド星生成システムについては、風や重力による変形を考慮して望遠鏡への搭載治具を再度設計する必要が生じたため、遅れが生じ2020年度に繰り越すこととなったが、新しい設計を完了し、必要な部品の製作、すばる望遠鏡への取り付け作業を完了することが出来ている。トモグラフィー補償光学を用いて観測するターゲットについても検討を進め、銀河進化において星形成を停止させる観点から重要となる銀河スケールのアウトフローを伴う銀河の発見につながった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の根幹となるトモグラフィー補償光学系の開発について、トモグラフィー波面測定を行うのに必要となる4台の波面センサーを搭載した波面測定ユニットは組み上げがほぼ完成し、実験室での調整と波面測定実験を行う段階にあり、2019年度に進める予定であった項目については完了することが出来た。またすばる望遠鏡の既存補償光学AO188の可変系鏡を多素子可変系鏡に更新する開発も順調に進んでおり、可変形鏡の製作は完了し、搭載した試験に向けた検討を始めている。2019年度に進める予定であった項目は完了している。またレーザーガイド星生成システムについても、レーザー光の送信治具の設計の変更が必要となり、2019年度に遅れが生じたが、風や重力による変形の影響について再度評価を行い、改訂した設計に基づいて治具の製作を行い、すばる望遠鏡への取り付けを完了することが出来た。これにより2019年度に進める予定であった項目を完了することが出来た。このように2019年度に進める予定であった研究開発項目のうち、いくつかは2020年度に繰り越して実施することとなったが、繰り越した項目も含めて予定通り完了することが出来ており、おおむね順調に進展していると評価する。
|
Strategy for Future Research Activity |
トモグラフィー補償光学の試験観測を通してトモグラフィー補償光学の性能の実証を行うことが最大の研究課題である。まずは試験観測に向けて、波面測定ユニットおよびレーザーガイド星生成システムを完成させ、それぞれの性能実証試験を行い、トモグラフィー補償光学が実現できることを示す。2020年度中にトモグラフィー波面測定に必要となる波面測定ユニットはほぼ完成している。今後は実験室のシミュレーション光学系を用いた波面測定実験を行い、トモグラフィー推定を導入した波面推定手法の試験を行う。確認用波面センサーを用いて、ターゲット方向の大気揺らぎを推定する精度について性能評価を行い、評価が完成したのちにすばる望遠鏡に輸送する。既存補償光学系AO188の可変系鏡の多素子化についても開発を進め、2021年度中に補償光学系に取り付けた試験を行う予定である。レーザーガイド星生成システムについては2020年度中に新しいファイバーレーザーをすばる望遠鏡に実装する作業が進み、2021年度に1個のレーザーガイド星を生成する試験を行う予定である。さらにトモグラフィー補償光学に必要となる4個のレーザーガイド星を生成するシステムについても光学系の製作が進んでおり、2021年度には完成する予定である。こちらについてもガイド星の生成試験を行う。トモグラフィー波面推定の性能評価、多素子可変系鏡の評価、レーザーガイド星の生成試験での性能評価の結果に基づいて、トモグラフィー補償光学としての性能の評価を行い、それに基づいて最終的にトモグラフィー補償光学の実証試験を行う。
|
Research Products
(14 results)