2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses and Verification of Particle Acceleration and Scattering by Electromagnetic Cyclotron Waves in Space Plasmas
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17H06140
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大村 善治 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (50177002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 孝伸 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (00514853)
篠原 育 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (20301723)
齋藤 義文 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (30260011)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | 電子加速 / 放射線帯 / 波動粒子相互作用 / プラズマ観測 / 非線形過程 / 磁気リコネクション / サイクロトロン波 / 計算機シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線帯の形成過程のモデルとして、磁力線に沿って平行伝搬するコーラス波動が経度方向に局在している場合について計算手法の開発を行った。高エネルギー電子の分布関数として、エネルギー、赤道ピッチ角、緯度からなる3次元の分布関数を考え、平行伝搬コーラス波動と相互作用する電子のグリーン関数のデータベースを作成した。内部磁気圏に注入された高エネルギー電子(10-30keV)が緯度的に局在したコーラス波動により数MeVのエネルギーにまで加速されて、地球の周りに放射線帯が形成される過程を示すことに成功した。 あらせ衛星のデータ解析により、コーラス波動と高エネルギー電子が総合作用をし、ピッチ角散乱によってロスコーン内に入った電子が磁力線に沿って地球の超高層大気に降り込み、脈動オーロラを光らせている強い証拠を得ることに成功するなど、「あらせ」衛星に よる波動ー粒子相互作用に関する観測データ解析が進んだ。 MMS衛星のデータ解析により、電磁イオンサイクロトロン波動とイオンが相互作用し、非線形理論で予想されるイオンホールが形成していることを直接かつ詳細に示すことに成功した。これは、磁気圏などにおけるコーラス波動と電子の非線形相互作用と対をなすもので、非線形波動粒子相互作用の理論の正しさを直接的に実証したものである。 一方、地球磁気圏昼側タイプの磁気リコネクションの振る舞いを粒子コードによる計算機シミュレーションで解析し、磁力線がつなぎ変わるX点付近で、電子の運動がカオス的になり、特異な分布関数が形成されることを見出した。 将来の宇宙空間における多点観測の実現を目指して、角度分解能は低いが超小型のアナライザー「カスプ型の小型低エネルギー電子分析器」を考案し、衛星に搭載可能な形状の設計を実施した。これにより、高い角度分解能を必要としない用途で小型軽量低エネルギー荷電粒子計測器を実現する目処をつけることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NASAから送られているMMS衛星のデータを保存するデータサーバーの導入が遅れて、次年度に導入することになったが、現状のデータ量は未だ多くないので、研究面での支障は出ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
MMSのデータベースを構築するためのデータサーバーを2018年度初めに導入する。MMSおよび「あらせ」衛星のデータ解析を進める。MMSのデータ解析においては、太陽風中のホイッスラーモード波に的を絞って解析をおこなう。放射線帯のモデリングとしては、平行伝搬するコーラス波動に加えて、斜め伝搬するコーラス波動による加速機構を含めることができるように電子の軌道計算の手法を開発し、斜め伝搬の効果をグリーン関数に取り込んでゆく。また、放射線帯の相対論的電子は電磁イオンサイクロトロン(EMIC)波と共鳴して、非常に効率のよいピッチ角散乱を受けて極域大気へと降下することが分かっている。このEMIC波の発生頻度を推定する手段として地上観測も有効である。インドの地磁気観測所の研究グループとの共同研究として、南極における地磁気のデータを使ってEMIC波動の地上観測データについて解析を行う。
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