2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses and Verification of Particle Acceleration and Scattering by Electromagnetic Cyclotron Waves in Space Plasmas
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17H06140
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大村 善治 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (50177002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 孝伸 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (00514853)
篠原 育 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (20301723)
齋藤 義文 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (30260011)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | プラズマ波動 / 電子加速 / 放射線帯 / 非線形過程 / 波動粒子相互作用 / 磁気圏 / 宇宙プラズマ / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
斜め伝搬するホイッスラーモードコーラス波によって電子が数10keVから数MeVまで加速されて放射線帯外帯が形成される過程を数値グリーン法によって再現することに成功した(Hsieh et al., 2020)。コーラス波のモデルとしてサブパケット構造の有無による電子加速の効率の変化についてテスト粒子計算によって明らかにした(Hiraga and Omura, 2020)。 「あらせ」衛星の観測による内部磁気圏領域のプラズマ波動とで電子加速・散乱に関する研究を進め,本年度にはVan Allen Probes衛星との協調観測により,ULF波の観測とそれに伴う電子フラックスの変調の関係から夕方側に局在するULF波によって高エネルギー電子が作り出されることを示唆する観測例を得る(Teramoto et al., 2019)など,衛星-衛星間や衛星-地上観測網間の多点観測による成果があがりはじめた. 地球のバウショック、磁気圏シース領域の観測データからコヒーレントな電磁サイクロトロン波を解析し、波動が微細な空間構造を持つことを発見した。前年度に新たに提唱した電磁サイクロトロン波を介した衝撃波における電子加速理論を、MMS衛星による観測データを用いて観測的に実証した論文がPhysical Review Letters誌に受理され(Amano et al., 2020)プレスリリースを行った。 超小型の粒子観測器については14個の部品のメタライズと特性取得試験の実施のための試験治具の製作を済ませていたが、購入済の検出器がそのままではアナライザーに組み付けることができないことが判明した。そこで、検出器の構造を一部変更した他、試験治具を一部設計しなおして新たな部品を追加するなどの改良を行った。粒子センサーからの信号をとらえる電子回路部を小型化したチップの動作安定をはかり、実用に向けて大きく進歩した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平行伝搬のコーラス波のグリーン関数データベースは順調に構築作業は終了したが、斜め伝搬コーラス波のグリーン関数のデータベース構築作業を進めている。またEMIC波によって放射線帯電子フラックスが短時間で局所的に著しく散乱された観測例について解析した。 「あらせ」衛星の観測は遠地点地方時を2周回以上カバーし,「あらせ」軌道における現象の概要が把握できてきた.データ較正などのデータ処理も順調に進んで折り,他の衛星や地上観測網との協調観測も加えて,内部磁気圏における電磁サイクロトロン波による高エネルギー電子の加速・散乱機構に関する研究を本格化している.地上観測との協調観測からは,コーラス波の秒以下の変動に呼応して,地上から観測されるオーロラにも対応して秒以下の変調があらわれること明らかになる(Hosokawa et al., 2020)などの成果も得られた. 前年度から作成を進めてきたMMS衛星による電磁サイクロトロン波のプロットを用いて、磁気シース領域における大振幅波動の励起領域を通過しているイベントを選定した。また、今年度実証した衝撃波電子加速理論が天体衝撃波へも応用可能であること、すなわち電磁サイクロトロン波がより広範な宇宙プラズマ現象における粒子加速に重要であることを示した。 粒子センサーにおける捕捉電子回路部の小型化をはかるためのセンサーチップの開発において初段電流利得が非常に大きなチップ内回路のため動作が不安定で発振に至る事象が多発したが、その発振場所の特定および機構を解明しチップ内外の接地方法を大幅に見直し、チップ動作の安定化に成功した。また粒子センサーから入力される数ナノ秒の電流パルスを捉えることができていなかったチップの初段部FETのサイズ、バイアス電流の最適化をはかって、5ナノ秒のパルスを捉えることができるチップとして実現でき、特性取得試験の準備を完了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平行および斜め伝搬波に対するグリーン関数法をグローバルな放射線帯モデルに組み込むためには、経度方向へのドリフトを含めた3次元的なグリーン関数にする必要があることが判明したため、経度方向を含む斜め伝搬コーラス波動の3次元テスト粒子計算の手法の開発を進める。EMIC波の発生頻度や空間的な広がりを調べて、EMIC波によ放射線帯電子消失の条件を定量化して放射線帯モデルに取り込む。さらにULF波動と放射線帯電子との相互作用について研究を進める。 あらせ衛星の観測は順調であり、地磁気活動が活発化するフェーズに向けて新たな観測的知見を期待できる。また、観測データが蓄積され,衛星軌道における現象が概観できてきたことから,今後,太陽活動度に応じた現象の統計的特性を解析することになるが,膨大な観測データから効果的に対象となる現象を抽出する手法などの検討をはじめている。 磁気シース領域等における大振幅波動イベントのうち、特に波動のソースと考えられる領域において波動粒子相互作用の非線形性をコントロールするパラメータ等について解析を進める。また、その領域のデータに対して波動粒子相互作用直接解析手法を適用し、非線形波動粒子相互作用によるエネルギー授受の直接実証を目指す。また、衝撃波における電磁サイクロトロン波動の励起および減衰過程について、磁気シースを含めた他領域との比較検討を行う。 14個の部品で構成されるセンサー部と検出器部を試験治具に取り付けた状態で、真空チェンバ内に設置してイオンビームを入射することで、センサー特性を取得する。この結果を元に、更にセンサー部の改良を行う。現状の性能を保証したままチップ入力に閾値電流を設定できる機能が必要である。また、小型WPIA実現にむけ、本粒子チップ、高度化をはかったプラズマ波動チップを組みこんだデジタル設計をすすめ、超小型の粒子観測器を完成させる。
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[Presentation] Energetic electron injection observed at the plasma sheet boundary in the inner magnetosphere2019
Author(s)
I. Shinohara, T. Nagai, T. Mitani, N. Higashio, S. Kasahara, Yoichi Kazama, Shiang-Yu Wang, Sunny W. Y. Tam, A. Matsuoka, K. Asamura, S. Yokota, T. Takashima and Y. Miyoshi
Organizer
EGU General Assembly 2019, April 7-12
Int'l Joint Research
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