2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Theory of Microwave-induced Nonequilibrium State and its Application to the Manipulation of Solid/Interfacial Chemical Reactions
Project/Area Number |
17H06156
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
和田 雄二 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (40182985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝沢 博胤 東北大学, 工学研究科, 教授 (90226960)
椿 俊太郎 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (90595878)
福島 潤 東北大学, 工学研究科, 助教 (80634063)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | マイクロ波 / 触媒作用制御 / 非平衡反応場 / マイクロ波特殊効果 / マイクロ波プロセッシング |
Outline of Annual Research Achievements |
1)マイクロ波反応のin situ 測定:マイクロ波(MW)照射によって固体表面や固体バルクに生じる非平衡状態を観測可能な、MW in situ XAFS、二次元二色温度計プラズマ同時観測測定装置などの観測装置群を完成した。MW in situ XAFS測定により、MW照射中に得たEXAFSスペクトルから、温度依存的なDebye-Waller因子を抽出することで、光学イメージングでは検出不能なナノメートルスケールの担持白金ナノ粒子触媒上の金属粒子の温度情報を測定した。MW照射中の担持金属は周囲の金属酸化物担体と比較して26~132K高温になっていることを明らかにした。また、二次元二色温度計プラズマ同時観測測定装置により、最高2.2ミクロン/pixelの空間分解能で、局所温度勾配を定量化できる装置を開発し、Al2O3-C選択加熱系において、カーボンファイバーが選択的にマイクロ波によって加熱されAl2O3との温度差は7600℃/mmの巨大な温度勾配が生じていること見出した。 2)新触媒反応への応用:マイクロ波照射により、金属酸化物触媒によるアルコールの脱水反応、Ni粒子(電子供与体)からメチルビオロゲン(電子受容体)への電子移動反応、α-Fe2O3電極による水の電界酸化反応において促進が生じることを実証した。 3)新材料合成反応への応用:二次元二色温度計プラズマ同時観測測定装置を用い、マイクロ波電磁場下での金属粒子の窒化反応促進メカニズムを解析した。Ti粉末へマイクロ波照射した際のin situ発光分光を行った。非常に短時間のプラズマ形成が窒化プロセスに関与することが明らかにし、窒化反応促進メカニズムを提起した。さらに、新奇機能物質のマイクロ波合成として、BaTiO3-CoFe2O4マルチフェロイック材料の創製やTi4O7ナノロッド合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に基づき、複数のマイクロ波照射 in situ観測手法を確立した。本装置群を電磁界シミュレーションなどと相補的に用い、固体表面や固体バルクに生じる非平衡局所加熱状態を実証しつつある。さらに、当該研究で構築したマイクロ波化学学理による、新たな固体触媒反応系および新材料合成反応系を開拓しつつある。 1) マイクロ波反応のin situ 測定:東工大Gでは、MW in situ XAFS測定システムを用いて、マイクロ波照射中の金属上のナノ粒子の温度測定に成功した。イメージングによる温度分布の解析は光の回折限界の制約を受け、ナノメートルスケールの温度計測は困難である。一方、本手法の確立により、触媒担体上の金属ナノ粒子の温度の直接計測が可能となった。また、東北大Gでは、還元窒化反応の劇的な促進にプラズマ励起が関与していることを明らかにした。また、Al2O3-C間に生じる温度大非平衡反応場の実験的検証により、理論やシミュレーションからは想像つかない大温度勾配(7600℃/mm)が生じることを示した。 2)新触媒反応への応用(東工大G):マイクロ波による固体触媒反応促進効果、金属酸化物還元反応の促進、電子移動やイオン移動過程の加速効果を実証した。これらの促進機構をもとに、難資源化有機炭素化合物としてバイオマスやメタン、二酸化炭素の有効利用技術における実証を進めた。 3)新材料合成反応への応用(東北大G):酸化チタン-二酸化バナジウム系スピノーダル分解挙動の解析、アルミナのマイクロ波炭素熱還元窒化による低温でのAlN合成、BaTiO3-CoFe2O4 マルチフェロイック材料の創製、Ti4O7ナノロッド合成などに成功するとともに、通常加熱プロセスではできない新奇バルク磁性半導体の合成の可能性も見出しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
[研究体制]研究代表者である和田の東工大定年退職に伴い、東工大科学技術創成研究院特任教授となった。この変更に伴い、研究体制として、研究代表者である和田は、全体を統括しつつ、本研究におけるin situ観測実験の中心を研究分担者である滝澤ならびに福島の管理する東北大に移転し、共同研究者間の共用設備として運用を開始した。さらに、昨年度までの研究成果をより広範な界面化学系ならびに測定系に拡張するため、これまでの連携研究者ないし研究協力者が、新たに研究分担者として参画し、現在まで得られたマイクロ波化学系研究成果をもとに各分担者において拡張研究を推進し、最終的に本研究で得られる全成果を総合した学術体系化を進める。 [研究内容]1)マイクロ波反応のin situ 測定:これまでに、固体粒子表面上の非平衡局所高温場をin situに観測可能なシステム群を確立し、種々の系で巨大な熱非平衡状態の形成を実証した。これらの観測結果をもとにマイクロ波によって能動的に化学反応促進を制御する方法論を確立する。 2)新触媒反応への応用:マイクロ波による固体触媒反応促進効果を最大限に活用した、革新的触媒反応系の開発を進める。1)で構築した in situ観測系を、反応モニタリング手法として採用し、マイクロ波の電磁場強度の関数として熱的非平衡状態を制御する理論を構築する。本理論に基づいて、メタン、CO2、バイオマスなどの難資源化炭素化合物を低温・短時間・低消費エネルギーで高効率に有用物質へ変換する技術や、難還元金属酸化物の迅速精錬技術としても実証する。 3) 新材料合成反応への応用:既往の結果をもとに、通常加熱プロセスではできない新奇バルク磁性半導体の合成、および異常原子価Sn2+含有新規誘電体の作製を実現する。本手法を、バルク非平衡材料合成反応技術としての体系化を進める。
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Research Products
(42 results)