2017 Fiscal Year Annual Research Report
An Integrated Multi-scale Approach for Studying Cyanobacterial Circadian Clock System
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17H06165
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
秋山 修志 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 教授 (50391842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 孝男 名古屋大学, 理学研究科, 名誉教授 (10124223)
上久保 裕生 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (20311128)
古池 美彦 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 助教 (70757400)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | 概日時計 / 生物時計 / 温度補償性 / 24時間周期 / リズム / 周波数特性 / 分子進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
KaiCを中核とした概日時計システムの詳細を明らかにするため、生物発光リズムを指標とした部位特異的KaiC変異体のスクリーニングを実施した。加えて、KaiCのATPase活性を指標にスクリーニングするためのin vitro実験系を整備し、同系を用いたスクリーニングを通じて多数の変異体を取得した。 各種構造解析においても良好な成果が得られた。Kaiタンパク質群の結晶化条件を複数の晶系で見出すことに成功し、かつ各々について位相決定を完了させることができた。求められる空間分解能がほぼ達成されており、構造と各種変異体の情報を相補的に絡めつつ、24時間周期と温度補償制御を両立させるメカニズムを読み解きつつある。なかでも、複合体の機能をアロステリック転移させる仕組みに一定の目処がついたことは大変意義深い。その他、電子顕微鏡を用いた単粒子解析、ダイナミクス計測、概日時計システムの解析に特化したμ流路型自動サンプリングシステムの開発を開始した。 各種蛍光プローブを導入したKaiCを用いて、KaiCの状態(位相)と複合体形成の因果関係を詳細に調べた。その結果、KaiCのATPase活性がKaiBとの相互作用において極めて重要な役割を果たすことが見出され、その安定した遅さをマルチスケールに伝播させる仕組みを解明するに至った。 進化系統樹をもとに十数種類の祖先型シアノバクテリアをリストアップし、それらのKaiCホモログを調製して固有振動数を評価した。概日周期を中央値とした分布の存在が示唆され、それらと進化系統樹の対応関係を調べることの科学的意義や研究計画の妥当性を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Kaiタンパク質群の変異体ライブラリ構築と結晶構造解析の成功は大きな研究成果である。これらを車の両輪として、24時間周期と温度補償制御を両立させるメカニズムを読み解くための活動を飛躍的に加速させることができる。KaiCとKaiBの相互作用に関する研究成果はそれ自体が意義深いだけでなく、μ流路型自動サンプリングシステムを用いた次の研究展開が見込まれる。単粒子解析やダイナミクス計測についても予備実験の結果は良好であり、概日時計システムの研究に特化した技術開発を行うことで、着実に成果を出すことができると考える。KaiCホモログの研究については、現時点での限られたサンプル数にも関わらず予想を上回る発見があり、今後サンプル数を増やすことによる発展が十分に見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題の中核をなす研究項目については、3年を目処に研究成果が論文発表できるように必要となる実験を加速させる。変異体ライブラリ構築については、その内容をより充実させるべく秋山グループと近藤グループで協力して研究を進める。各種構造解析については秋山グループを中心に更なる高分解能化を推し進めつつ、得られた構造モデルをベースとした理論化学計算の準備に着手する。KaiCに内在する2種類のATPase活性の関係性については近藤グループが中心となって生化学的研究を実施する。KaiCとKaiBの相互作用については、上久保グループを中心にμ流路型自動サンプリングシステムを用いた実験に取り組む。KaiCホモログの研究についてはサンプル数を増やすと同時に今まで以上に力を注ぐ。
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Research Products
(49 results)