2019 Fiscal Year Annual Research Report
An Integrated Multi-scale Approach for Studying Cyanobacterial Circadian Clock System
Project/Area Number |
17H06165
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
秋山 修志 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 教授 (50391842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 孝男 名古屋大学, 理学研究科, 名誉教授 (10124223)
上久保 裕生 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (20311128)
藤原 悟 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 東海量子ビーム応用研究センター, 上席研究員(定常) (10354888)
古池 美彦 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 助教 (70757400)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | シアノバクテリア |
Outline of Annual Research Achievements |
【①周期変異体、温度補償変異体のスクリーニング】ATPaseを指標としたin vitroスクリーニング系を独自開発し(Ouyang et al. Int. J. Mol. Sci. 2019)、従来比10倍以上のスループットで200変異体を解析して、75種のATPase変異体、62種のATPase温度補償変異体を取得した。並行してin vivoスクリーニングを実施し、これまでに300種のKaiC周期変異体、7種のKaiC温度補償変異体を同定した(Miwa et al, 論文投稿中)。両スクリーニング系からの結果を比較検討後にマージして、研究項目②~④に供した。 【②固有振動数の分子内・進化系統樹上マッピング】KaiCホモログの発現精製過程を最適化する際の基本戦略を策定し(Mukaiyama et al. Int. J. Biol. Macromol. 2019)、同戦略に沿って試料調製を進めた。進化系統樹上に露わとなったωの分布図は、KaiCを核とした計時システムの進化過程を反映するものであった。 【③固有振動数を規定するATPase/リン酸化構造基盤の解明】既報構造中で最高の空間分解能を誇るKaiC新規構造を解明した。理論化学計算を援用することで、ATP反応過程におけるプロトン還流経路やATPase/リン酸化共役機構を可視化した。 【④温度補償制御の解明】スクリーニング結果をKaiC分子内にマッピングし、温度依存性を示す変異群のクラスタを同定した。中性子準弾性散乱を実施し、温度補償制御と揺らぎの間に因果関係を見出した。 【⑤液中における動的構造解析】Kaiタンパク質に特化したマイクロ流路型・連続滴定測定系を構築した。KaiCに対してKaiA/KaiBの連続滴定X線溶液散乱測定を行ったところ、6量体内の不均一性に由来する非凡かつ多様な結合モードが解明された(論文投稿中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目①に関しては、iv vitroスクリーニング基盤を独自開発して論文化し(Ouyang et al. 2019)、in vivoスクリーニング系との併用により数多くの変異体を同定した。多数の変異体が代表者や分担者の機能構造解析に供されており、他4項目の推進に多大な貢献を果たしている。超短周期から超長周期にわたるリズムを表出せしめる同一サイト点変異群については実験が完了しており、現在、論文投稿中である。 研究項目②と③については、当初の目標を上回る新発見があっただけでなく、更に深い奥行きと広がりを感じさせるものであった。各研究項目に対応する計2本を権威ある国際学術誌に投稿するための準備を進めている。 研究項目④に関しては、当初の計画に沿って温度補償変異体の結晶構造解析を実施し、その観察に着想を得て中性子準弾性散乱を実施した。研究の遂行に伴って見通しに変化が生じたものの、適切に対策を講じることで、計画自体に支障をきたすことなく研究は進捗している。他の温度補償変異体を用いた実験を実施し、観察の普遍性が確認され次第論文化する。 研究項目⑤に関しては、KaiC6量体内の不均一性に由来する非凡かつ多様なKaiA/KaiB結合モードを解明した(論文投稿中)。それ以外にも、KaiBC複合体の形成がKaiCの遅いATPaseにより律速されることを発見して論文化した(Mukaiyama et al. 2018)。KaiCはこの仕組みを活用して、ωに織り込まれた遅い時定数を他の分子種、延いては計時システム全体に波及させていることを解明した(Mukaiyama et al. 2019)。 各研究項目の進捗状況は良好であり、その一部では、当初の目標を上回る成果も得られているが、現時点で論文化されていない案件が含まれることを総合的に勘案し、「おおむね順調に進展している」として自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き前述の5項目について研究を継続する。②進化系統樹上におけるωの分布図、および③ATPase/リン酸化構造基盤を解明したので、それらを論文発表する。④温度補償制御の解明については、他の温度補償変異体を用いた実験を早急に実施し、観察の普遍性を確認して論文化する。KaiCの①変異体スクリーニングと⑤液中動的構造解析は順調に進捗しているので、今のペースと質を堅持して研究を進める。
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Research Products
(44 results)