2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of sex differentiation of germ cells
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17H06166
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
相賀 裕美子 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 教授 (50221271)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | 生殖細胞 / 細胞周期 / NANOS2 / RNA編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
NANOS2/DND1を安定的に発現誘導できる培養細胞(NIH3T3)系をもちいて、以下の実験を行った。 1)標的遺伝子を認識する機構を明らかにするため、すでに標的として同定済みのDazl及びSohlh2の3'UTRを用いてドメインマッピングを行った。両遺伝子において、認識に必要なcis-sequence領域を同定したが、共通に存在する特異的sequenceは認識できてなかった。 2)NANOS2及びDND1にRNA-editing enzymeであるADAR2の酵素活性ドメインを融合し、標的RNAのアデノシンがイノシンに変換される(A to I edit)、RNA-editingwを指標にしてNANOS2及びDND1の標的RNAの同定を試みた。少なくとも培養細胞において、導入したDazl-RNAに特異的RNA編集が検出された。今後、GS細胞、及び胎仔生殖細胞に、発現させることにより、in vivoにおける標的の同定を試みる。 3)NANOS2-DND1によるRNAの制御機構を可視化するため、RNA特異的Cas13-EGFPを用いて、Dazl-RNAの可視化を試みた。Dazl-gRNA存在可において特異的なEGFPシグナルを検出できることが分かった。現在、P-bodyマーカ等を導入し、ライブイメージングを試みている。標的RNA動態解析に利用可能であることがわかった。
生殖細胞の雄化に関して、主に細胞周期に焦点を絞った解析を進めた。Single-cellのRNA-seq dataを用いた細胞周期変化はNANOS2の発現と強い相関を示し、特に、NANONS2の発現によりcell cycleが停止することが、NANOS2-KOのRNA-seq dataからも確認できた。すなわち、NANOS2は雄の生殖細胞の細胞分裂停止を誘導する因子として再定義できる。したがって、これまで細胞分裂維持因子として考えられていたNANOS2の機能の解釈は変更する必要があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養細胞系でNANOS2/DND1の分子機構解析が可能になり、多くの生化学実験や、イメージング解析が可能になった。またsingle cell-解析により、これまで定説となっていたNANOS2の機能を改定することにより新たな解釈が可能になった。 また生殖細胞のRNA制御の観点からP-body の重要性を鑑み、P-body関連因子の条件付きKOマウス解析を開始している。DDX6, CNOT1, DCP2, 4ETに関して、すべてのfloxラインは確立できている。現在、胚発生におけるこれらの遺伝子の機能を明確にするために、完全なKOの解析を進めている。これらは今後生殖細胞特異的な機能解析の基盤となる。
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Strategy for Future Research Activity |
培養細胞を用いた解析は、引き続き分子機構解析とライブイメージングを平行しておこなう。生殖細胞の雄性化に関しては、NANOS2下流の因子解析を開始するとともに、RNA制御機構の解析に関してはDDX6, DCP2, 4E-TのKOマウスを用いて、主に、胎仔期生殖細胞の解析を介して推進する。 また雌性化因子である、SMAD4/STRA8をdKOすると生殖細胞が雄性化できることを利用して、生殖細胞の雄性化決定機構に関する解析を開始する。方法としては、SMAD4-KOにRA阻害剤処理した雌生殖細胞のsingle-cell-RNA-seq解析データを得る。この系では生殖細胞は雄性化する。この際の遺伝子発現と正常の雄性生殖細胞の比較により、生殖細胞の雄性化因子の同定を試みる。機能解析としては、雄性生殖細胞特異的遺伝子KOにより可能である。
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Research Products
(14 results)