2019 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of sex differentiation of germ cells
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17H06166
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
相賀 裕美子 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 教授 (50221271)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | 生殖細胞 / RNA制御 / RNAの可視化 / シングルセルRNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
Nanos2の機能解析に関して以下の成果を得た。
1)シングルセルを用いたRNA-seq解析を用いて生殖細胞の細胞周期とNanos2の発現を詳細に解析したところ、Nanos2の発現は分裂停止前に開始されること、そしてひとたび、Nanos2が発現すると細胞は分裂停止状態にはいり、それが維持されることが明らかになった。この結果は、Nanos2-KO細胞において、細胞分裂が停止できないことと一致する。ただし、細胞分裂の停止は、Nanos2以外の経路も同時に機能していることも示唆された。またNanos2による細胞分裂停止の分子機構として、標的遺伝子にmTORC1の活性化因子が含まれること。また実際Nanos2-KO細胞においては、mTORC1が活性化しており、それらの細胞は、分裂活性を持つことも明らかになった。
2)Nanos2はパートナー因子としてDND1と結合することや、RNAの認識にDND1が必要であることは明らかであったが、その詳細な分子機構は不明であった。培養細胞にNANOS2, DND1を導入した再構成系を用いた生化学実験、およびライブイメージング実験により、まずDND1が標的RNAを認識して結合し、その後NANOS2がDND1-RNA複合体を認識して結合することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生殖細胞の雄化因子であるNanso2の分子機構に関しては、かなり明らかになってきたが、依然その標的RNAの同定には苦労している。多くの標的が同時に抑制される必要があるため、標的を機能的に絞ることはほとんど不可能に近い。可能であればNodeとなる鍵因子を洗い出してそれらを同時に操作する必要がある。 またこれまで、遺伝子KOではタンパク質の安定性によって、解析が困難であることを鑑み、タンパク質のノックダウン系の確立を試みている。少なくともレポーターを用いた解析では、数時間以内にタンパク質をノックダウンすることが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
培養細胞系を用いてNanso2-DND1の細胞分裂制御機構解析は可能である。現在判明しているmTORC1系がどのような機序で制御されているのか?またマウスの生殖細胞で同様な機構が機能するのか、キメラマウス系を用いた解析を進める。 生殖細胞のオス化を誘導する因子の同定のために、雌の卵巣内で生殖細胞を雄化してその細胞のシングルセル解析を進めている。卵巣における誘導系を使うことにより、体細胞への影響を排除して生殖細胞に直接作動するシグナル系を見出したい。 また蛋白分解系を導入するには、分解用のタグをつけたマウス系統を作成する必要がある。また生殖細胞特異的に蛋白ノックダウンを行う系の開発も必要になってくる。
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Research Products
(5 results)