2020 Fiscal Year Annual Research Report
Life science basis of short-lived reactive species originated from foods
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17H06170
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 浩二 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40203533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤池 孝章 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20231798)
上原 孝 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00261321)
安達 貴弘 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, ジョイントリサーチ部門准教授 (50222625)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | 短寿命活性種 / 自然免疫 / ポリスルフィド / タンパク質フォールディング |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 抗酸化剤を介した自然抗体リガンド生成機構の解析:卵殻膜から精製可能なリジルオキシダーゼを用い、タンパク質分子上に生じる酸化的脱アミノ化リジンの解析を行った結果、新規修飾構造として環状イミン構造を有する2-ピペリジノール構造を同定した。 (2) 短寿命抗酸化剤代謝物によるタンパク質の新機能獲得:主に腹腔に存在し、T細胞非依存的に抗体を産生するB1細胞がアクロレイン修飾蛋白質に反応することを明らかにした。また生体内に化学修飾をハプテンとする多種の抗体が存在することを示した。さらに、抗酸化性ペプチドとして市販されているカルノシンなどのイミダゾールジペプチド(IDPs)の酸化代謝物である2-オキソイミダゾールジペプチド(2-oxo-IDPs)の絶対定量法を確立した。 (3) 過硫黄分子によるタンパク質パースルフィド化:高感度LC-MS/MSを用いた活性硫黄メタボローム解析システムを確立し、過硫黄分子種の主要な生体内産生系として、システイニル-tRNA合成酵素(CARS)を同定した。CARSは、システインを基質としてタンパク質翻訳と共役して新生タンパク質を過硫黄化していることを見出した。さらに、CARS由来の過硫黄分子種がミトコンドリア電子伝達系に関わることを発見した。 (4) 短寿命分子種による細胞内タンパク質機能制御:パースルフィドドナー処理によるプロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)のスルフヒドリル化修飾を調べたところ、酵素活性以外のCys残基も対象となることが判明した。パースルフィドドナー処理による酵素活性への影響を調べたところ、native PDIよりもさらに活性が高くなり、タンパク質内ジスルフィド形成も亢進していた。以上のことより、パースルフィドドナーによるPDIのスルフヒドリル化修飾は酵素活性を正に調節している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)リジルオキシダーゼにおいても、リジン修飾の主要な酸化生成物として環状イミン構造を同定し、カテキンなどの抗酸化剤と全く同様の分子機構によるリジン酸化修飾反応を明らかにするなど、新規な知見を得つつ順調に進んでいる。 (2)IDPsの酸化修飾構造として2-oxo-IDPsを生体内から検出し、さらに2-オキソ構造が抗酸化剤としての活性本体であることを明らかにするなど、画期的知見を得た。T細胞非依存的にアクロレインハプテン特異的な抗体が産生されることを示したてきたが、B細胞のうち、おもに腹腔に存在し、T細胞非依存的に抗体産生をするB1細胞がアクロレイン修飾蛋白質に反応することを明らかにした。また生体内には化学修飾をハプテンとする多種の抗体が存在することを示した。 (3) 新規活性硫黄生成系およびミトコンドリア電子伝達系と共役した硫黄代謝系の解明のための解析を行ったが、そのために本研究の当初目的の一つである活性硫黄種の生理的機能の解明に関する知見をさらに深めることができ、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。 (4) PDIのパースルフィドドナー処理によるスルフヒドリル化修飾は酵素活性を正に制御することが初めてわかった。さらには,NO誘発性の神経細胞死数の現象やアポトーシスマーカーであるPARP分解や核凝縮もパースルフィドドナー処理によって有意に抑制されることが明らかとなった。以上の成績から,酸化ストレスやニトロソ化ストレスに対して、パースルフィドドナーは防御的に機能する可能性が考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)2-ピペリジノール構造の機能性に着目し、IgM抗体との親和性などについて検討する。さらに、ポリフェノールによる2-ピペリジノール構造の生成について検討することにより、酸化的脱アミノ化を基軸にした抗酸化剤の反応性に関する新たな知見を得る。 (2)抗酸化剤修飾タンパク質による炎症制御メカニズムのより詳細な解析を進めるとともに、細胞外ヒストンへの影響について検討を行う。また抗酸化剤修飾による細胞の遊走や分化を制御する機能性コラーゲン開発に向け研究を展開する。B細胞を欠く変異導入マウスの血清蛋白質を用い、アクロレイン修飾を受ける蛋白質を同定する。またアクロレイン以外の修飾についても、それらの標的を明らかにする。さらに、アクロレインハプテンに対するIgA抗体はT細胞依存的であることが示唆されているが、T細胞非依存的IgMおよびIgGクラスの抗体も含め、生体内でのそれらの意義について検討する。 (3) 過硫黄分子によるミトコンドリア機能制御の分子機構と生理的機能の詳細な解析を行う。さらに、食餌による硫黄摂取と生体内過硫黄分子生成との関連および硫黄代謝が関わる生理機能についての解析を進めていく。 (4) これまでの成果は主にリコンビナントタンパク質や培養細胞レベルでの検討である。今後は、ヒトiPS細胞やヒト病態脳(パーキンソン病やアルツハイマー病)を用いて、PDIスルフヒドリル化修飾の生理・病態生理学的役割を検討する必要がある。この結果を踏まえて、パースルフィドドナーの治療薬シーズとしての開発に有益な情報を与えたいと考えている。
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Research Products
(48 results)
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[Journal Article] On-tissue polysulfide visualization by surface-enhanced Raman spectroscopy benefits patients with ovarian cancer to predict post-operative chemosensitivity2021
Author(s)
K. Honda, T. Hishiki, S. Yamamoto, T. Yamamoto, N. Miura, A. Kubo, M. Itoh, W.-Y. Chen, M. Takano, T. Yoshikawa, T. Kasamatsu, S. Sonoda, H. Yoshizawa, S. Nakamura, Y. Itai, M. Shiota, T. Ida, T. Akaike, Y. Masugi, M. Sakamoto, T. Kato, Y. Ino, H. Yoshida, H. Tsuda, N. Hiraoka, Y. Kabe, M. Suematsu, et al.
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Journal Title
Redox Biology
Volume: 41
Pages: 101926~101926
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Transferrin Receptor Is a Specific Ferroptosis Marker2020
Author(s)
Feng Huizhong、Schorpp Kenji、Jin Jenny、Yozwiak Carrie E.、Hoffstrom Benjamin G.、Decker Aubrianna M.、Rajbhandari Presha、Stokes Michael E.、Bender Hannah G.、Csuka Joleen M.、Upadhyayula Pavan S.、Canoll Peter、Uchida Koji、Soni Rajesh K.、Hadian Kamyar、Stockwell Brent R.
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 30
Pages: 3411~3423.e7
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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