2017 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of Cynomologus Monkey Model for Hereditary Retinal Diseases : Diseases Mechanisms and Therapeutic
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17H06276
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
岩田 岳 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 分子細胞生物学研究部, 部長 (90374157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝田 淳 帝京大学, 医学部, 教授 (10239262)
下澤 律浩 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター, 主任研究員 (50300786)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 医歯薬学 / 外科系臨床医学 / 眼科学 / 眼生化学・分子生物学 / ドルーゼン |
Outline of Annual Research Achievements |
カニクイザルに対して、GnRH agonist、FSHおよびhCGを用いたホルモン投与方法により成熟卵の採取を行ったところ、成熟卵採取において効果的に採取できたり、あるいはできなかったことがあった。後者の場合、採取された成熟卵が非常に少なく、CRISPR/CAS9システムを用いたゲノム編集に足る受精卵数を準備することができないことがあった。また、採卵個体の体重変化において、GnRH agonist投与開始から採卵時までのおよそ一ヶ月の間に、顕著な減少が見られ、本採卵方法による個体の健康状態への影響が考えられた。これらのことはカニクイザルでは遺伝的背景が揃っていないことや個体の年齢や状態も個々に異なること、あるいは適した採卵方法ではない可能性があることなどを示唆するものであった。一方、GnRH antagonistを利用したホルモン投与方法では、GnRH agonistを用いた場合よりも投与から採卵までの期間の短縮および体重減少がほとんど見られないことから、より効率的な卵採取が可能と考えられた。卵数が十分に準備でき、その質に問題がないと確認されたときに顕微授精によって受精卵の作成を行った。その結果作出された前核期受精卵の細胞質中に黄斑ジストロフィーの責任遺伝子(A遺伝子とする)を改変するように設計されたCRISPR/CAS9タンパク質およびgRNAを同時に微量注入した。注入された前核期受精卵を体外培養後、正常に分割した質の良いと考えられる受精卵を仮腹となる雌カニクイザルへ胚移植を行った。胚移植後約1ヶ月に超音波画像診断により妊娠を確認した。また、一部の注入胚においては、体外培養の継続後、胚盤胞への発生が確認された。これらのことはA遺伝子を改変するように設計されたCAS9 + gRNAの注入は、胚の初期発生に対して負の影響はないものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
受精卵を作成するためには雌個体から成熟卵を採取するためには、ホルモン投与により卵の発育および卵の成熟を誘導する必要がある。カニクイザルに対して、GnRH agonist、FSHおよびhCGの投与により成熟卵の採取を行ったところ、成熟卵採取において効果的に採取できたり、あるいはできなかったことがあった。後者の場合、採取された成熟卵が非常に少なく、CRISPR/CAS9システムを用いたゲノム編集に足る受精卵数を準備することができないことがあった。また、採卵個体の体重変化において、GnRH agonist投与開始から採卵時までのおよそ一ヶ月の間に、顕著な減少が見られ、本採卵方法による個体の健康状態への影響が考えられた。これらのことは、カニクイザルでは遺伝的背景が揃っていないことや個体の年齢や状態も個々に異なること、あるいは適した採卵方法ではない可能性があることなどを示唆するものであった。一方、GnRH antagonistを用いた方法では、GnRH agonistを用いた場合よりも投与から採卵までの期間の短縮および体重減少がほとんど見られないことから、より効率的な卵採取が可能と考えられた。質および量ともに問題がないと確認されたときに顕微授精によって受精卵の作成を行った。作出された前核期受精卵の細胞質中に黄斑ジストロフィーのA遺伝子を改変するCAS9タンパク質およびgRNAを同時に微量注入した。注入された前核期受精卵を体外培養後、正常に分割した受精卵を雌カニクイザルへ胚移植した。その約1ヶ月後に超音波画像診断により妊娠していることを確認し、出産に至るのを待っている状況にある。また、胚移植されずに残った注入胚では、胚盤胞への発生が確認された。これらのことはA遺伝子を改変するように設計されたCAS9 + gRNAの注入は、胚の初期発生に対して負の影響はないことを示唆した。
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Strategy for Future Research Activity |
妊娠中の胎児おいて遺伝子改変が行われているか否かを確認するために、妊娠中に羊水を採取し、目的遺伝子が改変されているか否かを確認するために遺伝子検査を実施する。そして、出産時においても胎児由来産物(血液や胎盤など)をサンプルとした遺伝子検査を行い、羊水をサンプルとしたものと解析結果が一致するか否かを確認する。これにより、出産前に予め遺伝子組換え個体であるか否かを確認することが可能となり、遺伝子改変が確認された場合は、出産前後の母体および貴重な仔ザルへの万全な対応をとることが可能となる。そして、哺育および生育状況を見ながら、可能であれば対象個体の眼底観察を実施し、遺伝子改変による症状の有無を確認する。また、成熟卵を採取する方法としてGnRH agonist、FSHおよびhCGを用いたホルモン投与方法に加え、GnRH antagonistを用いた方法あるいはhCG投与から採卵までの時間について卵採取法を行い、受精卵作成の効果や採卵個体への影響について検討する。改変の対象をA遺伝子に加え、網膜色素変性症のB遺伝子を改変するように設計されたCRISPR/CAS9タンパク質およびgRNAを注入し、A遺伝子とは異なる遺伝子改変を実施する。A遺伝子およびB遺伝子の改変を平行して実施し、CRISPR/CAS9注入胚の胚移植を実施するとともに、胚移植を行わなかった胚において、遺伝子改変の有無を解析する。また一部の胚においては、発生した胚盤胞から内部細胞塊を摘出し、ES細胞の樹立を計る。
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Research Products
(27 results)
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[Journal Article] Genome-wide association study identifies seven novel susceptibility loci for primary open-angle glaucoma.2018
Author(s)
Shiga Y, Akiyama M, Nishiguchi KM, Sato K, Shimozawa N, Takahashi A, Momozawa Y, Hirata M, Koichi M, Yamaji T, Iwasaki M, Tsugane S, Oze I, Mikami H, Naito M, Wakai K, Yoshikawa M, Miyake M, Yamashiro K; Japan Glaucoma Society Omics Group, Kashiwagi K, Iwata T, et al.
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Journal Title
Hum Mol Genet
Volume: 27(8)
Pages: 1486-1496.
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Early Patterns of Macular Degeneration in ABCA4-Associated Retinopathy.2018
Author(s)
Khan KN, Kasilian M, Mahroo OAR, Tanna P, Kalitzeos A, Robson AG, Tsunoda K, Iwata T, Moore AT, Fujinami K, Michaelides M.
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Journal Title
Ophthalmology
Volume: 125(5)
Pages: 735-746
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Japan Glaucoma Society Omics Group (JGS-OG). Genetic analysis of Japanese primary open-angle glaucoma patients and clinical characterization of risk alleles near CDKN2B-AS1, SIX6 and GAS7.2017
Author(s)
Shiga Y, Nishiguchi KM, Kawai Y, Kojima K, Sato K, Fujita K, Takahashi M, Omodaka K, Araie M, Kashiwagi K, Aihara M, Iwata T, Mabuchi F, Takamoto M, Ozaki M, Kawase K, Fuse N, Yamamoto M, Yasuda J, Nagasaki M, Nakazawa T
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Journal Title
PLoS One
Volume: 12(12)
Pages: e0186678
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Case of Cone Dystrophy with Normal Fundus Appearance Associated with Biallelic POC1B Variants.2017
Author(s)
Kominami A, Ueno S, Kominami T, Nakanishi A, Ito Y, Fujinami K, Tsunoda K, Hayashi T, Kikuchi S, Kameya S, Iwata T, Terasaki H.
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Journal Title
Ophthalmic Genet
Volume: 39(2)
Pages: 255-262
DOI
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[Journal Article] Missense variants in the X-linked gene PRPS1 cause retinal degeneration in females.2017
Author(s)
Fiorentino A, Fujinami K, Arno G, Robson AG, Pontikos N, Arasanz Armengol M, Plagnol V, Hayashi T, Iwata T, Parker M, Fowler T, Rendon A, Gardner JC, Henderson RH, Cheetham ME, Webster AR, Michaelides M, Hardcastle AJ.
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Journal Title
Hum Muta
Volume: 39(1)
Pages: 80-91
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Genetic Variant Near PLXDC2 Influences the Risk of Primary Open-angle Glaucoma by Increasing Intraocular Pressure in the Japanese Population.2017
Author(s)
Mabuchi F, Mabuchi N, Takamoto M, Sakurada Y, Yoneyama S, Kashiwagi K, Iijima H, Yamagata Z, Aihara M, Iwata T, Araie M. Japan Glaucoma Society Omics Group (JGS-OG).
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Journal Title
J Glaucoma
Volume: 26(11)
Pages: 963-966
DOI
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[Journal Article] A prospective multicenter study on genome wide associations to ranibizumab treatment outcome for age-related macular degeneration.2017
Author(s)
Yamashiro K, Mori K, Honda S, Kano M, Yanagi Y, Obana A, Sakurada Y, Sato T, Nagai Y, Hikichi T, Kataoka Y, Hara C, Koyama Y, Koizumi H, Yoshikawa M, Miyake M, Nakata I, Tsuchihashi T, Horie-Inoue K, et al.
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Journal Title
Sci Rep
Volume: 7(1)
Pages: 9196
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Additive effects of genetic variants associated with intraocular pressure in primary open-angle glaucoma.2017
Author(s)
Mabuchi F, Mabuchi N, Sakurada Y, Yoneyama S, Kashiwagi K, Iijima H, Yamagata Z, Takamoto M, Aihara M, Iwata T, Kawase K, Shiga Y, Nishiguchi KM, Nakazawa T, Ozaki M, Araie M; Japan Glaucoma Society Omics Group (JGS-OG).
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Journal Title
PLoS One.
Volume: 12(8)
Pages: e0183709.
DOI
Peer Reviewed
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