2017 Fiscal Year Annual Research Report
慢性うつ病患者におけるスキーマ療法の有効性の評価:ランダム化比較試験
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17H06559
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
村田 倫一 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任研究員 (90802588)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | スキーマ療法 / うつ病 / 臨床心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】本研究は、薬物加療を2年以上受けているうつ病患者(以下、慢性うつ病患者)の早期不適応的スキーマの特徴を探り、慢性うつ病患者に適したスキーマ療法について検討した。 【方法】慢性うつ病患者と健常者、各60名に対し、早期不適応的スキーマを探るYSQ、スキーマモードを探るSMI、うつ病重症度を評価するBDI-Ⅱ、愛着を評価するECR-RSを実施した。 【結果】慢性うつ病患者は、健常者に比べ、早期不適応的スキーマ、不適応的スキーマモード、愛着の問題を強く抱えていることが示された。とりわけ、早期不適応的スキーマについては、見捨てられ/不安定、情緒剥奪、失敗、自律性と行動の損傷が、不適応的スキーマモードについては、脆弱なチャイルドモード、非自律的チャイルドモード、遮断・防衛モードの問題が強いことが認められた。適応的スキーマモードの一つであるヘルシーアダルトモードについては、健常者の方が高い値を示した。また、愛着の問題は、うつ病重症度、早期不適応的スキーマ、不適応的スキーマモードに関係が認められ、愛着の問題が強くなるほど、これらも強くなることが示された。 【考察】慢性うつ病患者は健常者に比べ、愛着と、それに伴うスキーマの問題を強く抱えているために、うつ症状が改善し辛いことが推測される。そのため、慢性うつ病に介入する際には、ヘルシーアダルトモードを育て、早期不適応的スキーマを形成するに至ったであろう愛着の問題を積極的に扱う必要があるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床試験を開始したものの、研究協力者が急遽退職をすることとなったため、被験者への介入とデータ収集に参画できなくなった。そのため、研究協力施設および患者リクルート、新たな試験協力者を調整する必要が生じた。また、特殊性のある療法であるため、研修を通し、試験協力者に試験実施を行える知識と技術の習得をさせた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初はランダム化比較試験を用いて認知行動療法との効果比較を予定していたが、期間内に完遂することが困難と思われるため、スキーマ療法による介入のみの単一群試験へと計画を若干変更し、慢性うつ病患者に対するスキーマ療法の効果を検証する。本試験により、前年度までの結果および、本邦におけるスキーマ療法の効果を臨床的観点から検討する。
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