2017 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーを介したmicroRNA非結合型Argonauteの分解機構の解明
Project/Area Number |
17H06616
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 穂高 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (80802975)
|
Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
|
Keywords | microRNA / Argonaute / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
microRNA(miRNA)は22塩基ほどの小さなRNAであり、Argonaute(AGO)タンパク質と相互作用することで遺伝子発現を抑制する。この現象はRNAサイレンシングと呼ばれている。AGOはmiRNA結合時には安定である一方、miRNA非結合時には積極的に分解されることが知られている。申請者はこのmiRNA非結合型AGOの選択的分解が、選択的ユビキチン化に起因することを見出し、この選択性を担保する分子基盤の同定に成功した。さらに、この選択的分解がRNAサイレンシングにおいて必須の機構であることを支持する結果を得ている。申請者は最近、ユビキチン化されたmiRNA非結合型AGOの分解が、オートファジーによって実行されていることを見出した。そこで本研究では、このオートファジーを介したmiRNA非結合型AGOの分解機構を解明することで、オートファジーという細胞生物学的な視点から、RNAサイレンシングの新規制御機構を明らかにすることを目指す。本研究では、まず2017年度に、miRNA非結合型AGOとオートファジーを繋ぐ分子基盤の同定を試みた。ここでは、miRNA非結合型AGOに選択的に結合する因子群を網羅的に同定し、その中からオートファジーに関連する因子を抽出した。これらをmiRNA非結合型AGOとオートファジーを繋ぐ分子基盤の候補因子とした。候補因子の中からmiRNA非結合型AGOの選択的分解に寄与する因子を選別したところ、オートファジーに関連する~90kDaの因子がmiRNA非結合型AGOの選択的分解に必須であることを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究計画は主に「miRNA非結合型AGOとオートファジーを繋ぐ因子の同定」と「当該因子の機能解析」から成る。2017年度の研究では、実際にmiRNA非結合型AGOの選択的分解に必須のオートファジーに関連する因子を同定することに成功した。従って、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2018年度においては、当該因子の機能解析を行う。すなわち当該因子がどういった機構でmiRNA非結合型AGOの選択的分解に寄与するのか検証する。具体的には、当該因子について、(1)有する機能ドメイン、(2)先行研究で報告されている機能、(3)ノックダウンした時のAgo1とオートファゴソームの細胞内共局在性などを足掛かりに、miRNA非結合型Ago1の選択的分解に寄与する機構について仮説を立て、その真偽を検証する。
|