2017 Fiscal Year Annual Research Report
三次元空間情報と土壌―植物―大気系モデルを用いた樹木の微気候調整効果の予測
Project/Area Number |
17H06675
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
清野 友規 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 研究員 (20807143)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 都市緑化樹木 / 屋外熱環境 / 3D-CAD / 数値シミュレーション / 蒸発散 / 降雨 / 日射遮蔽 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度である今年度は、研究計画の順序を一部変更し、緑化樹木周辺の熱・水分環境に関する都市域での実態把握を中心に行った。また、開発対象とする3D-CAD上での熱環境シミュレーションプログラムの基本的設計を行い、導入する樹冠内放射伝達サブモデルについて理論的検討・文献調査を行った。 (1) 従来観測データが不足していた、土壌水分・蒸発散が緑化空間の熱環境に与える影響を把握するため、降雨後の数日間を対象に、都内の緑道2か所において、気温・熱放射環境、および土壌含水率について移動観測を行った。赤外線放射カメラ・近赤外水分計を用いることで、多地点での熱・水分環境の経時的変化の測定を実現した。その結果、土壌の表層含水率と表面温度の間に明確な非線形関係が認められること、また、この非線形性のために、対象とした緑道においては、降雨後1,2日程度で蒸発による温度低減効果が急激に低下することを確認した。 (2) 街区スケールの微気候シミュレーションに導入可能であり、なおかつ、降雨量や植栽マスの土壌容積などの設計条件を反映可能な、解析的な樹木水収支モデルの熱環境予測への利用可能性を検討するため、基礎的な感度分析を行った。次年度以降の課題として、この解析的モデルにおいて簡略化されている土壌含水率の空間分布が、表面温度へ与える影響について、高分解能なモデルとの比較検証を行う必要がある。 (3) 樹冠内放射伝達モデルについて、葉の分光特性の考慮、および直達光・散乱光の分離方法について理論的検討・文献調査を行った。計算負荷・パラメタリゼーションの容易さなどの実用性と予測精度のトレードオフを考慮して、サブモデル候補を検討した。熱環境への影響評価は次年度の課題とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初導入を予定していた樹冠内放射伝達サブモデルについて、基礎的検討の余地があることが新たに判明した。そのため、研究計画の順序を一部変更し、熱・水分環境に関する都市域での実態把握を先に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、水収支・樹冠内放射伝達サブモデルを3D-CAD上の熱環境シミュレーションに導入し、葉の熱収支および樹冠下熱放射環境への感度分析を実施して必要精度を検証した上で、最終成果物となるプログラムを完成させる。また、関連論文の執筆・投稿を順次進める。
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