2017 Fiscal Year Annual Research Report
スポンジ担体の特性を有効利用した窒素除去プロセスの構築
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17H06703
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
渡利 高大 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (90800540)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | DHS / Anammox / 窒素除去 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から down-flow hanigng sponge (DHS) リアクターはスポンジ担体の表層においては酸素が十分に存在する好気状態であるが, スポンジ担体の深部では, 酸素が存在しないあるいは低酸素状態である嫌気無酸素状態であることが明らかになっている。本研究では、本スポンジ担体を閉鎖型リアクターに充填し, 空気孔の大小や数によって酸素量の調整が可能であることに着目し, DHSリアクターを利用した一槽式部分硝化-Anammoxプロセスの開発を試みた. ラボスケールのバイオリアクターを用いた人工廃水による連続処理実験では, 60%の窒素除去率を従来型の処理システムの半分の処理時間で達成した. マイクロDOセンサーを用いたスポンジ担体内のDO濃度測定の結果, DOは部分硝化-Anammoxプロセスに最適とされる1.0mg/L以下を維持していた. 一方で, DHSリアクター内の水質プロファイルの結果からDHSリアクターの上部でしか, Anammox反応が生じておらず, さらなる窒素除去率の向上へ向けて課題が残った. 16S rRNA遺伝子に基づいた微生物群集構造解析の結果から, アンモニア酸化細菌とAnammox細菌が優占していた. また, 有機物を添加していない人工廃水を供給していたにも関わらず従属栄養細菌である脱窒菌も存在していることが明らかになった. 以上の結果から, DHSリアクターを用いた1槽型部分硝化-Anammoxプロセスは簡易的に窒素除去を行えるプロセスになり得る可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度をラボ試験によってDHSは簡易的な運転操作によって60%程度の窒素除去率を得られた. また, 水質プロファイルの結果から, 窒素除去はリアクター上部でのみ行われており, 下部では反応がほとんど進行してないかった. そのため, 今後はリアクター全体で反応を行うため何らかの工夫が必要である。リアクター内のDO濃度は既往の報告で示されている部分硝化-Anammoxプロセスに最適な1.0 mg/L以下を維持しており, 空気穴の調整のみでDO制御を実現していた. 以上のことから本年度の計画は概ね達成できている.
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Strategy for Future Research Activity |
上述の結果から, 本システムの窒素除去率をさらに向上させる必要がある. そのため, 以下の研究を行い原因究明を行う. 1) リアクターの水質データの解析 2) 詳細な微生物群集解析 3) アルカリ度の効率的な供給方法の確立
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