2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of Inhibitory Effect of Gas Impurities on Hydrogen-Induced Fracture and Effect of Various Factors
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17H06930
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
薦田 亮介 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 学術研究員 (90801308)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 水素助長破壊 / 不純物 / 破壊じん性 / 材料強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は当初の計画どおり,ガス不純物による水素助長破壊抑制効果の定量的評価を目的とし,1.不純物種の影響の解明,2.材料強度の影響の解明,3.温度の影響を検討するための試験設備の構築を行った. 1.不純物種の影響.ppmレベルの酸素または一酸化炭素を含む水素ガス中で破壊じん性試験を行い,不純物種の違いが不純物による抑制効果に及ぼす影響の解明を試みた.どちらの不純物も水素脆化に対し抑制効果を有した.しかし,酸素を添加した場合と同様の抑制効果を発現させるためにはより多く(10~100倍程度)の一酸化炭素が必要であり,酸素は一酸化炭素よりも高い抑制効果を有することを明らかにした.表面化学的な検討により,酸素は一酸化炭素に比べ,鉄表面により遠い位置からより強い力で吸着すること,また,鉄表面に吸着した酸素は一酸化炭素に比べ,鉄表面が水素分子を水素原子へと解離させる触媒作用の阻害効果が大きいことが原因であると考えられる. 2.材料強度の影響.同一ロットから採取した材料に対し異なる熱処理を施すことで作製した,「組成は同じで強度の異なる材料」を用いて破壊じん性試験を行った.強度はビッカース硬さでHV214,HV329,HV613とした.強度の上昇に伴い,不純物による抑制効果を発現させるために必要な不純物量が上昇した.つまり,強度の上昇に伴って不純物の抑制効果は低下した.材料の水素脆化への敏感性は強度の上昇に伴って増加する.そのため,不純物による材料内への水素侵入の抑制の程度が材料強度に依らず一定であっても,水素脆化に敏感な高強度材料は水素脆化を起こし,結果として,抑制効果が減少したと考えられる. 3.温度の影響.温度の影響を検討するため,ガス温度のコントロールシステムの構築を行った.次年度より温度の影響を調査する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は当初の計画通り1.不純物種の影響の解明,2.材料強度の影響の解明,3.温度の影響の解明のための温度コントロールシステムの構築を行うことができたため,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,当初の計画通り温度の影響の解明を行う.温度のコントロールシステムはすでに構築済みである.ガス温度は-20℃~80℃の間で段階的に変化させる.ガス温度は,i)材料強度,ii)水素脆化,iii)不純物の抑制効果,に影響を及ぼすことが考えられるため,そのことに留意する必要がある.まず,それぞれの温度の影響を把握し,それらが重畳した場合にどのような現象を引き起こすかを明らかにする. 時間的な余裕があれば,当初の計画に追加して材料中への水素侵入量の測定も行う.不純物による水素脆化の抑制効果は不純物が材料中への水素侵入を抑制することで発現する.そのことに立返り,水素侵入の抑制効果を明らかにすることで,不純物の水素脆化の抑制効果の定量的な評価を試みる.
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