2017 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺未分化癌に対する免疫チェックポイント阻害治療の有用性に関する検討
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17H07035
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
榎本 圭佑 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30805750)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 甲状腺未分化癌 / 分子標的治療 / 免疫治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
PD-1 (programmed cell death-1)阻害薬を中心とした免疫チェックポイント阻害治療は、悪性黒色腫、腎癌、肺癌さらには頭頸部癌で臨床使用され、これまで予後不良であったこれらの悪性腫瘍の長期予後の改善が期待されている。一方、これまでに甲状腺癌に対して免疫チェックポイント阻害治療の有用性を評価した報告はない。我々は、MYC蛋白が甲状腺未分化癌の患者において亢進していることを見出しており、MYCの翻訳ターゲットの一つであるPD-L1(programed cell death-ligand 1)も過剰発現していることが予想される。そのため、甲状腺癌においてもPD-L1の過剰発現により腫瘍細胞が抗腫瘍免疫応答から逃れ、免疫チェックポイント阻害により抗腫瘍免疫応答を介した治療が奏功すると考えられている。 まず、細胞株を用いた実験を進めるため、ウェスタンブロット法による定量にて甲状腺正常細胞株(Nthy-ori3-1)と甲状腺未分化癌(8305C, 8505C, ASH3, OCUT2, OCUT4)においてPD-L1の発現量を比較した。これら甲状腺未分化細胞では、正常細胞株と比較して、明らかなPD-L1の発現亢進を認めた。一方、TTF-1, TPO, TSH-Rなどの甲状腺分化マーカーは未分化癌セルラインにて発現が低下していることを証明した。 加えて、ヒト臨床検体において甲状腺未分化癌とコントロール甲状腺組織(過形成)の免疫染色法によるPD-L1発現解析を行うため、条件設定等の予備実験を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
甲状腺未分化癌セルラインを用いたMYC - mRI翻訳 - アミノ酸生合成 - PD-L1発現解析の中で、アミノ酸生合成に関わる阻害剤を用いた発現制御実験では、細胞株のPD-L1発現を抑制することができなかった。よって、他の阻害剤によりPD-L1発現に影響があるか現在試みている。患者検体解析のための予備実験・共同研究の打ち合わせなどで、予想以上に時間を要したが、ほぼ条件が決まり、今後解析予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
手術検体などの摘出物を免疫染色法を中心に病理学的に解析し、臨床経過と比較する。 さらに、PD-L1阻害することで甲状腺未分化癌細胞の腫瘍制御が可能か、マウスセルライン移植モデルにて証明する予定である。
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