2017 Fiscal Year Annual Research Report
On the formation of an ethical identity of religios persons to spiritual care in the Great East Japan Earthpuake
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17H07068
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Research Institution | Japan University of Health Sciences |
Principal Investigator |
山田 牧子 日本保健医療大学, 保健医療学部看護学科, 助手 (30800792)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / スピリチュアルケア / 宗教性 / 文化的多様性 / 倫理 / 内的成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、宗教的観点と非宗教的観点を含めて、医療・福祉・教育・宗教の分野から、現代社会のスピリチュアリティの役割について幅広く文献購読や学会参加、フィールドワークなどから現状の把握や分析を行った。 学会参加の一つとして、日本スピリチュアルケア学会においては、宗教者らの発言も多く見られ、シンポジウム等から、自らの苦しみと同じように他者の苦しみを取り除いていくこと、といった思想や、自らの思いだけではなく、他者の益のためにも生きていくこと、といった宗教性に基づいた、自己中心性から脱して利他的な精神を持って生きていくといった態度と生き方について改めて聞く機会が得られた。現代社会の中でスピリチュアルケアを実践する専門職者として、宗教性や倫理性に基づく実践は大切なあり方の一つであることを認識することができた。 フィールドワークでは、震災後から現在まで続いている支援活動に参加する機会を得ることができた。スピリチュアリティの表現として、音楽を通した活動や、祈りを表現する伝統的な踊りなどをみたり、実際に参加することを得た。一緒に参加した被災者からは、心が癒やされたと発言があったり、リラックスしている様子を感じることができた。また、ものつくり等をとおした交流の場では、参加者の笑顔であったり、時には、お互いに思いを表出できたり、場をとおして心のよりどころとなるつながりが生まれ、被災者の心の癒やしや生きがいにつながっている現状を体感することができた。 被災地では、追悼の集いや、祈祷などの宗教的行事に参加する機会も得た。信者のみではなく、一般の市民も参加しており、宗教的な場ならではの、癒やしや、被災者の死者への思いの語りなどを聞いたりする事ができ、現状の課題とどのような文脈で、研究を位置づけていくのかについて検討していくため、今後の分析の視点として必要な情報を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年12月から現地に赴き、順次インタビューを開始してデータ収集を行う予定であったが、研究代表者の病気のため、平成30年1月からの調査を病気回復できた平成30年3月からに延期したためデータの収集が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、インタビューを行い、逐語化したデータの分析を進めていく予定である。研究者は、キリスト教文化については触れたり学んだ経験をもっていたが、仏教については文化に触れる機会が少なく、霊的観点が十分ではなかったため、分析のセンシビティが不足する可能性があった。そこで、実際の支援活動やスピリチュアルケアについて学んでいる僧侶のボランティアと、支援の課題や、諸宗教の違いや共通点について学んだり、話しをする機会をもちながら、データ収集と分析を行っていく。分析結果については本研究の分析手法である修正版グランデットセオリーアプローチの研究会で、スーパーバイズを受け、助言を受けていく予定である。生成した理論は学術学会で成果報告を行い、論文にまとめ、研究成果を公開していく予定である。
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