2017 Fiscal Year Research-status Report
開発と運用の密連携を実現するアプリケーションサービス保守開発支援に関する研究
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17K00110
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
名倉 正剛 南山大学, 理工学部, 准教授 (70457141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 眞吾 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (60273843)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | システム障害 / 保守開発 / 情報検索 / 実装漏れ防止 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度実施計画に沿って,まずクラウドアプリケーションに発生する障害状況を調査した.この際に,障害事例を収集するために,障害事例の報告サイトから自動収集する仕組みを確立した.またアプリケーション細粒度での障害原因分析については,初期プロトタイプを実装した.このプロトタイプは,アプリケーションサービスの呼び出しパフォーマンスを測定し,障害が発生したことを検知する仕組みである.次年度以降に障害事例を分類し,事例に合わせたプロトタイプ実装の改良を継続的に実施していく予定である.また,障害の原因特定や対処を実施する際に必要な情報を収集する方法については,保守開発者がWebから検索する作業を支援する手法を検討した.この手法は,情報検索において検索結果の適合度合いにより検索語を調整する適合フィードバック手法を,障害発生時の保守開発者によるWeb検索に応用したものである.この成果は,情報処理学会第80回全国大会にて口頭発表した.また障害状況の調査の過程で,サーバサイドでの障害やクライアントサイドでの障害が,アプリケーションの実装漏れに起因して発生していることが分かった.これに基づいて, クライアントサイドのAndroidアプリケーションを対象に実装漏れを防ぐための手法を提案した. Androidアプリケーションによる障害発生の原因としてはその多くがセンサー等のイベントを処理するコードの実装漏れである.この手法ではクライアント側のアプリケーションを題材に実装漏れを防ぐための手法を提案したが,言うまでもなくサーバ側のアプリケーションに対しても同じように実装漏れの状況が発生し,その結果として障害が発生する.このため,どちらにも適用可能な手法として提案している.この成果は,日本ソフトウェア科学会第34回大会で口頭発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度実施計画では,クラウドアプリケーションに発生する障害状況を整理し,アプリケーション細粒度での原因特定手法を確立するためのプロトタイプを実装すること,さらに問題事象の解消を確認するための知識ベースに基づくテストケース生成手法の確立を挙げていた.実績概要のうちの一部(実装漏れを防ぐための手法)については,障害状況の整理の過程でアプリケーションの実装漏れによる障害発生を確認しており,障害対処のための保守開発支援の際に必要な技術として次年度以降に検討する予定であったものを,繰り上げたものである.平成29年度実施計画にあるクラウドアプリケーションに発生する障害状況の整理については途中段階であるが,プロトタイプ開発については初期プロトタイプ実装が完了している.また知識ベースに基づくテストケース生成手法については,障害原因特定や対処実施のためのWeb検索支援手法によって支援を実施する際に実施する適合フィードバックの際に,Webから得た情報を知識ベースとして蓄積する部分のプロトタイプを開発した.これらプロトタイプ実装については障害状況整理の結果によって再度調整する必要があるが,当初計画ではこれらの作業を平成30年度の早い段階で終えることになっており,計画通り遂行可能である.以上より「おおむね順調に進展している。」と考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の予定は,おおむね申請時と変わらず,次の通りである. (1) オープンソースのクラウドアプリケーションの障害事例を調査する.平成29年度に収集した事例に対して,整理を継続的に実施する. (2) 障害発生状況を再現させて,平成29年度に開発した原因特定手法プロトタイプを状況に合わせて調整する. (3) (2)の調整に合わせて必要になる追加情報の取得手法を設計する. (4) 障害原因解決のための知識ベースのための基本アーキテクチャを設計する.
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Causes of Carryover |
年度末に調査のための国際学会参加を予定していたが,同時期に研究代表者が異動になり,遂行ができなくなった. 平成30年度内に,情報収集するために使用する予定である.
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Research Products
(2 results)