2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the formation and the development process of the modern-book form in Europe
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17K00454
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
雪嶋 宏一 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (00507957)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 近代的書物形態 / ページ付け / ジュネーヴ / ケルン / アントワープ / 標題紙 / コロフォン / 人文主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は新型コロナウィルス感染拡大のため、ヨーロッパでの現地調査ができなかったが、目標としていたジュネーヴ、ケルン、アントワープにおける16世紀の近代的書物形態の発展プロセスの研究については、16世紀印刷本の書誌およびデータベースを活用して調査を行い、それぞれの都市におけるページ付け印刷の開始と発展プロセス、近代的標題紙の成立とコロフォンの関係について一定の結論を得ることができた。 まず、前年度に続いてジュネーヴの1570年代以降の近代的書物形態の発展を調査して、カルヴァンの著作に代わって人文主義文献のページ付け印刷の発展によって、バーゼルを抜いて、スイス第1の出版都市となり、近代的書物形態の発展の中心地のひとつになっていたことが明らかになった。 ケルンにおける近代的書物形態の発展について研究を進め、ケルンにおけるページ付けの開始が聖バルバラ修道院内印刷所で1516年に行われ、バーゼルからの影響により人文主義文献のページ付け印刷が進められ、16世紀後半にはその比率が50%以上を維持した。ページ付け本の著者は、エラスムス、クレナール、アグリコラ、ヴァッラ等人文主義者が中心であるが、ディオニュシウス、ヴィツェル、ルペルトゥス、エック等のカトリック神学者も少なくなく、カトリック司教座都市であったケルンの特徴を示していた。 アントワープにおける近代的書物形態発展プロセスの研究では、1519年にページ付け印刷と近代的標題紙が同時に登場したことが明らかで、バーゼルより早い標題紙の登場を確認した。ページ付け印刷は、16世紀後半にプランタン印刷所が登場して急速に発展した。カトリック文献のページ付けが主流であった。しかし、ページ付けは都市内では面的な拡大がなく、比率も50%を超えなかった。一方、コロフォンは消滅せず、バーゼル、リヨン、ケルンとは異なる発展の傾向が観察された。
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Research Products
(6 results)