2019 Fiscal Year Research-status Report
An Introduction to the Archives Project Managed by Edvard Grönblad in the 19th Century Finland
Project/Area Number |
17K00464
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
平井 孝典 藤女子大学, 文学部, 准教授 (20396336)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フィンランド / エドヴァルド・グルーンブラード / グロンブロード / アーカイブズ / アルキーヴ / プロトコール / 情報アクセス / カトリック |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の成果】本研究では資料保存の重要性、このことが認識された契機を確認している。この契機の一つである19世紀の実務を考察してる。その実務を担った、ヘルシンキ大学図書館アーキビスト、グロンブロードは、断簡を書写しドイツなどの資料と比較し調べている。この活動の中で、ハンブルクのキリスト教史の歴史学者、アーキビストらと手紙のやり取りをしたようである。2017年度と2018年度は、グロンブロードの関連実務、資料集刊行の手続きなどを調査し整理してきた。2019年度は、国際的な視点で研究作業を広げるつもりであった。しかしながら、資料集刊行手続きは、当初の予想よりも関係資料が多く、調査と分析に時間を必要としている。したがって、2019年度は、ヘルシンキの国立公文書館での調査を継続することとした。グロンブロードは資料集刊行のプロセスで多数の人物と手紙などの連絡をしている。これまでも、そのような手紙を閲覧してきた。2019年度は、それらの手紙の意味をより深く知るために、グロンブロードの助手を務めた、カール・ボマンソンの手紙などもさらに調査した。2019年度は、これまでの成果をバルト=スカンディナヴィア研究会で報告、 史料紹介の論文として公刊した。 【具体的内容、意義、重要性等】本研究の対象は、フィンランド中世カトリック教会資料に関わる実務である。政府セナーッティで、資料集刊行にあたり、どのような審議が閣僚クラスで行われたか、検討してきた。成果は、2019年7月にバルト=スカンディナヴィア研究会7月例会で「19世紀フィンランドにおける資料集刊行とそのセナーッティでの審議― 1859年1月22日プロトコールの紹介 ―」と題し報告し、『北欧史』に掲載された。19世紀フィンランドの公文書管理及び情報アクセスについて、情報アクセス環境を整える実務に対する閣僚レベルの認識を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
グロンブロード関係資料が所蔵されるアーカイブズ・図書館で、①閲覧(撮影)、②調査(内容確認)と研究を進めている。2019年度はハンブルクでも調査の予定であったが、フィンランド国内の資料が考えていたよりも多く残されており、国内調査を優先することとした。2019年度も引き続き、①作業ノート及び作業報告の手紙でグロンブロードの業務を確認し、②フィンランド国立公文書館とスウェーデン語文献協会で公式な文書の調査確認を試みた。フィンランド国立公文書館で資料集刊行に関わるプロトコールと関連する資料を閲覧書写した。グロンブロードの助手をつとめたカール・ボマンソンの資料も確認している。3月に補足の調査も検討していたが、これは新型コロナウイルスの流行で断念した。計画通りに進めているが、2019年度は北ドイツ訪問を延期した。理由としては、一言で言えば、グロンブロード関係資料がフィンランド国内に分散して多量に保存されている、ということになる。慎重に漏れなく資料の確認をしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
フィンランドの記録管理やアーカイブズの大きく展開したのが19世紀である。資料保存の重要性、この認識も、様々な契機や事件で深まることになった。グロンブロードが諸外国の専門家にどのような助言を求めていたか、スウェーデンや北ドイツのアーカイブズ調査も考えている。しかしながら、当面は日本を出国しての調査は困難である可能性がある。これまで入手した資料や、画像公開された周辺資料の確認や分析に当面は力を入れたい。今年度も、①作業ノート及び関連の同僚への手紙などを継続して分析、②アルヴィドソンら関係者への刊行手続き過程での手紙等で作業の意図背景を確認、を引き続きしていくことになる。本研究に関わる学会研究会がビデオ会議方式で開かれれば申し込み、成果を報告すること、これを検討している。
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Research Products
(3 results)