2021 Fiscal Year Annual Research Report
An Introduction to the Archives Project Managed by Edvard Grönblad in the 19th Century Finland
Project/Area Number |
17K00464
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
平井 孝典 藤女子大学, 文学部, 准教授 (20396336)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グルーンブラード / アルキヴァーリエ / アーキビスト / フィンランド / 情報アクセス |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、これまで収集した資料や図書を確認した。19世紀フィンランドにおける、アルキヴァーリエの情報アクセス環境を整える業務を整理した。ザクリス・トペルウスの『素描のフィンランド産業』での活用例を報告した。19世紀においても、文化人トペルウスが大学図書館アルキヴァーリエ、エドヴァルド・グルンブラードによるアルキーヴ資料整理の成果活用を試みていることを指摘した。 本研究の研究期間を通じ、フィンランドの図書館及びアーカイブズ実務の歴史的経緯を研究してきた。フィンランドでは、「フィンランドに光をあてる」資料の収集保存が積極的に行われてきた。1766年の情報アクセス権の法定以来、収集保存に加え、アクセス環境の整備など利用に工夫をしている。このような実務が成立した背景について、大学図書館アルキヴァーリエ、エドヴァルド・グルンブラードらの作業ノート及び作業報告の手紙などを確認してきた。結果、①情報アクセス環境を整える資料集刊行実務と検閲制度について考察した。②1859年1月22日プロトコールを分析し、資料集刊行における政府内手続きと予算交付などを明らかにした。さらには、③ザクリス・トペリウスのような人物による、グルンブラードによる成果の活用なども明らかにした。関連して、このほか、内戦の一つ、中世末の棍棒戦争に関わる資料整理実務の研究を進めており、近い将来に研究成果を公刊していく予定である。フィンランドのアーカイブズ実務の特徴を明らかにしてきた。アーカイブズ分野における具体的な意義としては、①19世紀の情報公開の手段である印刷刊行の状況を確認し紹介した。②そもそも利用者の視点で資料の保存はどのように考えるべきか、ということを考察した。③歴史学研究目的での情報アクセス環境整備とは異なる、アーカイブズ実務を確認した。
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