2017 Fiscal Year Research-status Report
Application of freeze-dried powders of genetically engineered microbial strains as adsorbents for rare earth metal ions
Project/Area Number |
17K00625
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
森脇 洋 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (30321938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 博規 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (20262701)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 枯草菌 / 希土類 / レアメタル / 吸着 / 分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
希土類金属は液晶、磁石などの材料として需要が高く、資源として重要である。しかしながら、その抽出および分離には酸や有害なリン化合物が一般に用いられており、環境負荷の低い抽出・分離手法の開発および確立が望まれている。本研究ではグラム陽性菌である枯草菌およびその遺伝子操作株を培養後、フリーズドライさせて得られた粉末を希土類金属の抽出・分離に利用する手法の開発を目指している。希土類金属イオンの分離にはペプチドグリカンと結合している壁テイコ酸(WTA)を欠損させた遺伝子操作株が有効であることが明らかになった。例えばSc(III)とLa(III)の混合溶液ではpH2で吸着試験を行ったところ、溶液からはLa(III)のみが検出され、一方、枯草菌粉末上にはSc(III)が94%、La(III)が4.8%の割合で存在していることが明らかになった。Sc(III)とLa(III)、Sc(III)とEu(III)、Sc(III)とTm(III)の組み合わせについての分離は良好に達成されたが、一方でLa(III)とEu(III)、La(III)とTm(III)およびEu(III)とTm(III)の組み合わせの混合溶液については枯草菌粉末上へ吸着した希土類金属について、より原子量が高いほうが多く吸着しているという傾向は見られたものの完全な分離を達成することはできなかった。次に枯草菌168株のD-アラニン修飾欠損株およびグルコース修飾欠損株を遺伝子操作により構築し、培養後、フリーズドライにより得た粉末による希土類金属イオン吸着挙動に関する研究を行った。結果、修飾の有無により、その挙動に変化が見られた。現在、得られた知見をもとに論文を執筆中である。さらに枯草菌および遺伝子操作株より作成したフリーズドライ粉末による塩化金酸イオンの吸着に関する研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、予定していた遺伝子操作株の構築に成功し、そのフリーズドライ粉末による希土類金属イオンの吸着実験まで結果を得ることができた。予想していたとおりに、遺伝子操作株が野生株と異なる吸着特性を示すことも明らかになった。さらに、塩化金酸イオンの吸着性があることも確認できたため、今後はこれらデータを確立し、論文および学会発表へと結びつけたい。
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Strategy for Future Research Activity |
枯草菌168株のD-アラニン修飾欠損株およびグルコース修飾欠損株を用いた希土類金属の吸着挙動についてのデータをまとめて論文化および学会発表する予定である。また、塩化金酸イオンおよび金ナノ粒子の遺伝子操作株の吸着特性について網羅し、廃棄物中に含まれる金の回収に枯草菌が利用できないか検討を深める予定である。
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