2018 Fiscal Year Research-status Report
Application of freeze-dried powders of genetically engineered microbial strains as adsorbents for rare earth metal ions
Project/Area Number |
17K00625
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
森脇 洋 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (30321938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 博規 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (20262701)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 枯草菌 / 希土類 / 環境技術 / 吸着 / 分離 / 金 / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は枯草菌あるいはその遺伝子操作株を培養後、フリーズドライにより粉末化させ、その粉体を種々の有用元素イオンと相互作用させることにより、選択的に抽出することができないか検討するものである。枯草菌の遺伝子操作株を3種新たに作成した。野生株および従来の遺伝子操作株3種を併せて、7種類の枯草菌株についてそれぞれフリーズドライした粉末を作成した。これら粉末を用いて希土類金属イオンおよび金イオンとの吸着性を検討した。結果、希土類金属イオンについては今回作成したグルコースとD-アラニンを欠損させた株が最も高い吸着性を示した。これは希土類金属が吸着する際の立体障害が低いためであると考察した。また、金イオンについては壁テイコ酸欠損株が最も高い吸着性を示した。 これは壁テイコ酸が欠損することにより、表面の電荷がより正となり、アニオンである金イオン(塩化金酸イオン)を吸着しやすくなったためと考察した。さらに金イオンを吸着させた後にアスコルビン酸を作用させることによって、枯草菌表面に金ナノ粒子が析出することを発見した。この金ナノ粒子を触媒として用いることを現在、検討中である。なお、金イオンを吸着させた後にアスコルビン酸を作用させて金ナノ粒子を析出させるテクニックを用いて、濾紙上に金ナノ粒子を析出させる実験を併せて行った。この結果を枯草菌を基質として用いた金ナノ粒子のコントロールにしたいと考えた。濾紙にあらかじめ鉛筆により塗りつぶすことにより、従来、赤色である金ナノ粒子が金色になるということを発見した。この金色のナノ粒子は高い触媒活性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
枯草菌株の作成に成功し、希土類金属イオンとの相互作用および金イオンとの相互作用について明らかにすることができた。いずれも遺伝子操作株が野生株よりも高い吸着性を示す例をみつけることができ、有用金属の分離への応用が期待できる。また、金ナノ粒子を枯草菌粉末表面に析出することもできた。枯草菌粉末上の金ナノ粒子を環境汚染物質の分解用の触媒として応用できないか検討を進める予定である。また、この金ナノ粒子の作成技術を応用し、濾紙上に金ナノ粒子を作成する研究を進めていたところ、濾紙を鉛筆で塗ると、その上に析出した金ナノ粒子が従来赤色を示すのに対し、金色になるということを発見した。さらに、この金色の金ナノ粒子が環境汚染物質の分解に有用な触媒活性を示すことを明らかにした。このことは当初、予期していない結果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
枯草菌野生株および壁テイコ酸欠損株の金イオン吸着能を利用して、それら表面に金ナノ粒子を析出させ、その金ナノ粒子による環境汚染物質の分解反応を検討する。具体的にはニトロ基を有する農薬のアミノ化あるいはメチルオレンジなどのアゾ染料の脱色反応に活用することを予定している。また、枯草菌株が種々の環境汚染物質の吸着にも適用できないか、検討を進めていく予定である。
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