2017 Fiscal Year Research-status Report
共生型高付加価値社会におけるインクルーシブなインタラクティブメディアの開発
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17K00740
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
望月 茂徳 立命館大学, 映像学部, 准教授 (00454504)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高齢者 / インタラクティブメディア |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度においては、健常者を含めたケアするもの/されるものを包括的に対象とし、福祉の現場におけるインタラクティブでインクルーシブなデジタルメディア・デザインをこれまでの知見を発展させながら研究を行った。具体的には、機能訓練特化型デイサービスセンターに通っている高齢者たちと対象とし、フィールワークを行った上で、リハビリテーション用のデジタルゲーム開発を行った。このフィールドワークでは、映像、写真などを用いてリハビリテーション運動の種類や頻度、回数や身体機能との関係などを記録し、分析を行った。この施設においては、筋力強化や心肺機能の向上のため踏み台昇降運動をリハビリテーション・メニューのひとつとして導入しているが、単調な運動となるため消極的になる場合がある。そこで、踏み台に設置したセンサーによって足の動きを検出し、コンピュータ処理することで足の動きに連動して空を飛んだり、擬似的な旅行が体験できるゲームを制作した。開発したゲームは、機能訓練指導員のリハビリテーション職員の協力の下、施設に持ち込んだ上で、対象者に使用してもらい、反応を記録し、インタビューとアンケートを通じて検証を行っている。 また、NPO法人スローレーベルおよび国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)と協働し、障害者と健常者によって実践される舞台芸術SlowMovement(堺市にて公開)における舞台美術制作を行った。また、インタラクティブ・メディア開発を伴う1件の子供向け創造ワークショップ(高槻現代劇場)の開催を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本件研究の進捗としては、支援の必要な高齢者の現状を、運動機能特定型のデイケアセンターの協力を実際に仰ぎながら、定期的なフィールドワークを行うことでインクルーシブなデジタルメディア開発を行う指針を定めることができている。高齢者の増加に伴い、介護、医療の負担や個人の幸福と尊厳の維持は現代社会の重要な課題である。また、加齢による身体の機能や運動能力の変化は日常の運動と関係があり、身体の機能と運動能力の維持は寿命の延伸に必要だと考えている。現在、高齢者向けの健康教室やリハビリテーション病院も様々な運動と訓練が行われている。しかし、リハビリテーション訓練はほとんど単調な動作の繰り返しであり、体力的での負担だけでなく、精神的なストレスも伴い、リハビリテーション訓練に消極的になる場合が多い。具体的な聞き取り調査や観察の結果、すでにリハビリテーションメニューとして取り組まれている踏み台昇降運動に着目し、踏み台に設置したセンサーによって足の動きを検出し、コンピュータ処理するゲーム開発を行い、一定程度の使用実験をヒアリングと共に行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においては、引き続き、福祉の現場におけるインタラクティブでインクルーシブなデジタルメディア・デザインをこれまでのフィールドワークを行う。東京オリンピック・パラリンピックに向けた共生型の社会形成の課題を背景に、ケアするもの/されるものにおける互いの多様性理解を促進し、感性へ訴えかける発信機能をデジタルメディアに織り込むことの役割について検証を行う。具体的には、インクルーシブ・デザインに関わるデジタルメディア開発に関する調査およびこれまで開発した車椅子型インターフェイスに関する聞き取り調査や高齢者向けの運動機能特化型のインタラクティブ・メディアの開発について進めていく。
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Causes of Carryover |
高齢者や障害者を対象と含めたインクルーシブなデジタルデバイス開発を研究課題として含めており、その遂行に必要な3Dプリンタならびに周辺機器の導入を計画していたが、高齢者施設などでのフィールドワークの進捗ならびに3Dプリンタ業界の発達状況を踏まえ、より調査が進んだ次年度に導入するほうがより的確であると判断したため、本年度の執行を見送った。そのため、次年度使用額が生じているが、次年度に改めて執行を行う予定である。
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Research Products
(1 results)