2019 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Active Interaction Systems for Elderly People Using Sensor Network
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17K00746
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
渋沢 進 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 名誉教授 (20110398)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高齢者インタラクション / ヘルスケアセンサネットワーク / データ収集とデータ集計 / 非同期データ送信 / 健康支援システム / ヒューマンコンピュータインタラクション / 人の活動認識 / 木トポロジー構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複数の種類のセンサと入力機器より構成されるセンサネットワークを用いて、高齢者の動作を検出し、状態を推定し、出力機器を通して高齢者に働きかけるアクティブインタラクションシステムを開発するとともに、その基礎となる先進的ユビキタスネットワークの基盤技術を開拓することを目的としている。2019年度は、ヘルスケアセンサネットワークの研究の体系的調査による研究の関連付けと、進展の期待できるセンサネットワークシステムの基盤研究に注力した。 1.ヘルスケアセンサネットワークの研究の関連付け: 人の活動は、生理/環境/視覚等のセンサからの時系列データを用いて識別可能である。Nagら(2019)は、個人が健康状態に到達して維持することを支援する健康ナビゲーションパラダイムを示した。Sprintら(2016)、Alvarezら(2018)、Raviら(2017)は、センサを用いて収集した居住者や患者の活動データから健康イベントを分析した。Zhuら(2015)、Moseniaら(2017)は、ヘルスケアセンサシステムを調査し、課題を検討した。 2.センサネットワークシステムの基盤研究: 健康は、生体、環境、ライフスタイルに基づいてつねに変化する動的状態であり、センサネットワーク技術によって個人の生活を大幅に改善できる。本研究では、グラフの辺に遅延を導入し、分散環境で非同期的に動作する2種類のデータ送信を研究した。その結果、辺が無遅延の場合、送信数一定データ送信の方がレベルデータ送信より速いことを導いた。また、辺の遅延が一定値以上では、レベルデータ送信の方が送信数一定データ送信より速く、辺の遅延が大きくなるに従って、ノード数が大きくなるとともに、レベルデータ送信の方が速くなることを導いた。 3.高齢者インタラクションの研究: 高齢者データの取得と処理について検討を継続してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究協力者の他教育研究機関への異動等に伴い、本研究計画の見直しが必要となった。このため、ヘルスケアセンサネットワークの研究の体系的調査による研究の関連付けと、進展の期待できるヘルスケア向きセンサネットワークシステムの基盤研究に注力した。その過程で、センサデータの非同期送信方法の考案と性能評価、研究の関連付け等に想定以上の時間を要した。本研究の進捗状況は以下の通りである。 1.ヘルスケアセンサネットワークの研究の関連付け: Ranjanら(2018)、Kubitzaら(2017)は、スマートデバイスの動的相関を可能にする分散インタフェースを研究した。Maddenら(2002, 2005)は、分散ワイアレス環境でデータ集計を行うサービスを提案し、Liら(2011)、Crowcroftら(2015)は、様々な基準でセンサネットワークのデータ集計を評価した。Maら(2014)、Wangら(2019)は、ワイアレスセンサネットワークのスケジューリングと経路設計を研究し、El Gamalら(2004)はスループットと遅延のトレードオフを導いた。 2.センサネットワークシステムの基盤研究: センサネットワークにおける性能のよいノード間送信が求められており、本研究では、グラフの辺に遅延を導入し、分散環境で非同期的に動作する送信数一定データ送信とレベルデータ送信の2種類のデータ送信を研究した。その結果、辺が無遅延の場合、送信数一定データ送信の方がレベルデータ送信より速く、最大送信数2の完全2分木では、ノード数の増加とともに1.5倍速くなることを導いた。また、辺の遅延が一定値以上では、レベルデータ送信の方が速く、辺の遅延が大きくなるに従って、ノード数が大きくなるとともに、レベルデータ送信の方が速くなる。 3.高齢者インタラクションの研究: 高齢者データの取得と処理について検討を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究環境と研究状況の変化により、研究計画とスケジュールを見直した。本年度は、引き続き進展の期待できるセンサネットワークシステムの基盤研究に注力していく。 1.センサネットワークシステムの基盤研究: グラフの辺に遅延を導入し、分散環境で非同期的に動作するデータ送信とデータ処理を研究してきた。辺が無遅延の場合、送信数一定データ送信はレベルデータ送信より速く、辺の遅延が一定値以上では、レベルデータ送信の方が送信数一定データ送信より速い。また、辺の遅延が大きくなるに従って、ノード数が大きくなるとともに、レベルデータ送信の方が速くなった。これまでの研究から、次のような課題が明確になり、本年度はこれらの課題を中心に研究を進める。 (1) 多様なグラフでのデータ送信とデータ処理の研究、センサネットワークの利用環境に応じた送信方法とデータ処理の研究 (2) ヘルスケアセンサデータのリアルタイム組込みアルゴリズム、リアルタイム・オンセンサ計算 (3) センサネットワークのデータ収集のレイテンシ、ネットワークトポロジーとデータルーティング (4) 最小全域木と最短経路木を用いたデータ送信の実験的研究 (5) センサネットワークのセキュリティ 2.高齢者インタラクションの研究: 高齢者データの取得と処理について進展の期待できる内容を検討する。新しい生活様式での高齢者インタラクションの研究は、タイムリーであるが容易でない。 本研究課題の実施は、個人による研究を中心に進め、必要に応じて他研究者に研究協力と研究討論を要請する。また、センサネットワークシステム、ヒューマンインタラクションと動作認識システム等に関する他研究者からの研究討論には積極的に応じていく。規模の大きいシミュレーション実験は、必要に応じてソフトウェア技術者に支援を要請する。研究結果の整理できた内容から、学会等で研究発表していく。
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Causes of Carryover |
2019年度は、本研究計画を根本的に見直して、ヘルスケアセンサネットワークの研究の体系的調査による研究の関連付け作業と、ヘルスケア向きセンサネットワークシステムの基盤研究に注力した。その過程で、研究情報収集のための学会参加旅費、研究打合せ旅費、文献複写費等に支出し、他の経費を抑制したことにより、未使用が生じた。2020年度は、研究発表と情報収集の旅費、論文校閲経費、研究論文掲載料、印刷費等の費用がかかる予定であり、前年度未使用額をこれらの支出に充てる計画である。
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