2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Active Interaction Systems for Elderly People Using Sensor Network
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17K00746
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
渋沢 進 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 名誉教授 (20110398)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高齢者インタラクション / 健康支援システム / ヒューマンコンピュータインタラクション / 人の活動・生理データ / ヘルスケアセンサネットワーク / データ収集とデータ集計 / グラフトポロジー構造 / 非同期データ送信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複数の種類のセンサと入力機器より構成されるセンサネットワークを用いて、高齢者の動作を検出し、状態を推定し、出力機器を通して高齢者に働きかけるアクティブインタラクションシステムを開発するとともに、その基礎となる先進的ユビキタスネットワークの基盤技術を開拓することを目的としている。2020年度は、ヘルスケアインタラクションシステムの学際的研究を網羅的に調査して関連付け、進展の期待できるセンサネットワークシステムの基盤研究に注力するとともに、高齢者と介護者のヘルスケア情報共有システムを検討した。 1.ヘルスケアシステムの研究の関連付け: 人の健康は、生体、環境に基づいてつねに変化する動的状態であり、センサネットワーク技術によって個人の生活を大幅に改善できる。Nagら(2019) は個人が健康状態の維持・発展を支援するナビゲーションパラダイムを示し、Parkら(2020)は携帯端末を用いて高齢者の主観的な幸福度を測定した。Baglioneら(2020)はモバイルセンシングを用いた患者の服薬遵守への介入を検討し、佐々木ら(2018)は医療・健康行動における患者の意思決定と健康行動への介入を調査した。 2.センサネットワークシステムの基盤研究: 携帯端末の時系列データを用いて、人の活動・生理状態を測定できる。本研究では、分散環境で非同期的に動作する送信数一定データ送信とレベルデータ送信の2種類のデータ送信を研究した。前者は浅いレベルの辺も深いレベルの辺も平均的なデータ数で送信操作を続ける方法であり、後者は木の葉からデータ送信を始めて、多数の辺が同時にデータ送信を行う。これらの研究成果を国内外の学会で発表した。 3.高齢者インタラクションの研究: 高齢者データの取得と処理について、携帯端末を用いた高齢者と介護者のヘルスケア情報共有システムについて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究計画を見直し、ヘルスケアシステムの学際的研究を踏査し、進展の期待できるセンサネットワークシステムの基盤研究に注力した。センサデータの非同期送信方法を考案し、性能評価し、国内外の学会で研究発表した。その際、当初の計画と関連付けながら新しい研究成果を導く作業に時間を要したため、計画に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の拡大により、高齢者との密接なインタラクションが容易でないため、2021年度も進展が期待できるヘルスケアセンサネットワークシステムの基盤研究に注力していく。 1.センサネットワークシステムの基盤研究: グラフの辺に遅延を導入し、分散環境で非同期的に動作するデータ送信を研究してきた。辺が無遅延の場合、送信数一定データ送信はレベルデータ送信より速く、辺の遅延が一定値以上では、レベルデータ送信の方が送信数一定データ送信より速い。また、辺の遅延が大きくなるに従って、ノード数が大きくなるとともに、レベルデータ送信の方が速くなる。これまでの研究から、次のような課題が明確になり、本年度はこれらの課題を中心に研究を進める。 (1) レベルごとに送信性能が異なる木によるレベルデータ送信 (2) 多様なグラフトポロジーでのデータ送信とデータ処理 (3) センサネットワークの利用環境に応じた送信方法とデータ処理 (4) ヘルスケアセンサデータのリアルタイム組込みアルゴリズム (5) 通信遅延のあるセンサネットワークのデータ収集とデータ処理 2.高齢者インタラクションシステムの研究: 高齢者データの取得と処理について次のような検討を進める。 (1) ヘルスケア支援システムの研究とセンサネットワークによるデータ収集の研究の直接的関連付け (2) 携帯端末を用いた高齢者と介護者のヘルスケア情報共有システムの検討 (3) 高齢者ヘルスケア支援インタラクションの新しい研究提案の検討。 本研究課題の実施は個人による研究を中心に進め、必要に応じて他研究者に研究協力と研究討論を要請する。また、ヒューマンインタラクションと動作認識システム、センサネットワークシステム、計算理論等に関する他研究者との研究集会と討論に積極的に参加する。研究結果の整理できた内容から、国内外の学会で研究発表していく。
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Causes of Carryover |
2020年度は、本研究計画を見直して、ヘルスケアインタラクションシステムの踏査的調査による関連付け作業と、センサネットワークシステムの基盤研究に注力するとともに、携帯端末を用いた高齢者と介護者のヘルスケア情報共有システムを検討した。 その過程で、研究成果の論文校閲経費、研究発表経費、資料代、物品費等、限定した使途に支出したが、学会の参加がすべてオンラインになり、また高齢者との接触が減少し、旅費、実験経費等を抑制したことにより、未使用が生じた。2021年度は、論文校閲経費、研究発表経費、物品費、印刷費等の費用がかかる予定であり、前年度未使用額をこれらの支出に充てる計画である。
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