2021 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Active Interaction Systems for Elderly People Using Sensor Network
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17K00746
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
渋沢 進 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 名誉教授 (20110398)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢者インタラクション / 健康支援システム / ヒューマンコンピュータインタラクション / 人の活動・生理データ / ヘルスケアセンサネットワーク / データ収集とデータ集計 / グラフトポロジー構造 / 高齢者の生活様態 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の健康の維持・向上、日常生活動作の支援、生活の質の向上、医療・介護従事者の負担軽減等のための支援技術が求められている。環境・装着センサの時系列データより人の活動・生理状態を測定できる。本研究では、複数の種類のセンサより構成されるセンサネットワークを用いて、高齢者の動作を検出し、状態を推定し、出力機器を通して高齢者に働きかけるアクティブインタラクションシステムを開発するとともに、その基礎となる先進的基盤技術を開拓することを目的としている。 2021年度は、高齢者インタラクションとヘルスケアシステムの学際的研究を踏査し関連付け、高齢者インタラクションシステム、高齢者と医療・介護従事者のヘルスケア情報共有システムを検討し、進展の期待できるセンサネットワークシステムの基盤研究を実施した。 1.センサネットワークシステムの基盤研究: 分散環境で非同期的に動作する送信数一定データ送信とレベルデータ送信の2種類のデータ送信を研究した。前者は平均的データ数で送信操作を続ける方法であり、後者は木の葉からレベルごとにデータ送信する方法である。辺に送信遅延がない場合、送信数一定データ送信の方がレベルデータ送信より速いことを示した。 2.高齢者インタラクションシステムの研究: 携帯端末を用いた高齢者の活動・生理データの取得と処理、高齢者の特質を活かした活動支援システム、高齢者と医療・介護従事者のヘルスケア情報共有システム、高齢者の健康と活動に関するフィールド調査を検討した。 3.高齢者インタラクション研究の関連付け: Knowlesら(2021)は、従来のアクセシビリティとは異なる観点から高齢者システムを設計する必要があることを指摘し、DeFrancoら(2021)は慢性病の自動検出と投薬のIoTセンシング技術について述べ、濱谷ら(2021)は健康診断データを用いた生活習慣改善の価値を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
社会的ニーズとIT技術の発展を考慮して、本研究計画を根本的に見直し、高齢者インタラクションとヘルスケアシステムの学際的研究を踏査するとともに、高齢者の多様な特質に基づくインタラクションシステム、及び高齢者と医療・介護従事者のヘルスケア情報共有システムを検討し、進展の期待できるセンサネットワークの基盤研究を実施した。 センサネットワークの非同期送信方法のうち、辺に送信遅延がない場合の研究成果が論文掲載された。辺に送信遅延がある場合、ノード数の増加とともに、レベルデータ送信の方が送信数一定データ送信より速くなるが、より一般的な成果の導出に時間がかかっている。 高齢期の顕著な延伸と高齢者人口の増加に伴い、高齢者の生活様態が多様化し、高齢期は幼・少・青・壮年期の生活様態の多様さを上回っている。これまで高齢期のニーズについて長期間掘り下げて研究されることが少なかったが、高齢期が長期の多様な生活様態に満ちていることより、高齢者の研究は未開の肥沃な原野である。2021年度、高齢者の多様な特徴に基づくインタラクションシステム、及び高齢者と医療・介護従事者のヘルスケア情報共有システムの検討に多大の時間を要した。対象に対するフィールド調査を一つのアプローチとして、携帯端末を用いた高齢者のデータ取得を試みているが、まだ研究成果として現れていない。
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Strategy for Future Research Activity |
進展の期待できるセンサネットワークシステムの基盤研究を行うともに、高齢者の多様な特質に基づくインタラクションシステム、及び高齢者と医療・介護従事者のヘルスケア情報共有システムに関するフィールド調査と予備研究を実施する。 1.センサネットワークシステムの基盤研究: 辺に送信遅延がある場合、根ノードに接する辺の重みが他の辺の重みより小さい木のレベルデータ送信は、辺の重みが一様な場合に比べてデータ送信の実行時間が小さくなる。これまでの結果をもとにして、2022年度は次のような課題の研究を進める。 (1) レベルごとに送信性能が異なる木によるレベルデータ送信の評価 (2) 木構造を拡張した拡張木と規則的なグラフに対するデータ収集・集計方法とその評価 (3) 実装方式を考慮したデータ収集・集計方法とその評価。 2.高齢者インタラクションシステムの研究: 多くの高齢者にとって健康は大きな関心の一つであるが、高齢者の生活様態は多様である。高齢者の活動・生理データの取得と処理、医療・介護従事者の負担を軽減するための高齢者のヘルスケア情報共有システム、高齢者の活動支援インタラクションシステムについて、次のような検討と研究の試みを行う。(1) 携帯端末を用いた高齢者の活動・生理データの取得と処理についての検討とフィールド調査 (2) 携帯端末を用いた高齢者と介護者のヘルスケア情報共有システムの検討 (3) 新しい高齢者ヘルスケア支援インタラクションの検討。 本研究課題の実施は、個人による研究を中心に進め、必要に応じて他研究者に研究協力と研究討論を要請する。また、ヒューマンインタラクションシステム、センサネットワークシステム、センサデータ処理、計算理論等に関する他研究者との研究集会と討論に積極的に参加する。研究結果の整理できた内容から公表していく。
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Causes of Carryover |
2021年度も引き続き本研究計画を見直して、高齢者ヘルスケアインタラクションシステムの調査と、センサネットワークシステムの基盤研究に注力するとともに、携帯端末を用いた高齢者の活動・生理データの取得、高齢者と介護者のヘルスケア情報共有システムを検討した。 研究の実施過程で、研究成果の論文校閲経費、研究資料代、物品費等、限定した使途に支出したが、ほとんどの学会参加がオンラインになり、旅費等を抑制したことにより、未使用が生じた。2022年度は、論文校閲経費、研究発表経費、物品費、印刷費等の費用がかかる予定であり、前年度未使用額をこれらの支出に充てる計画である。
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